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去り際に人となりが出るんだとか

誰かから聞いた話だが、去り際に"人となり"が出るんだとか。
退職する時、離婚する時、恋人と別れる時、友達をやめる時、縁を切る時etc...。

人生には出会いの数だけ去る数も多いけれど、出会った時より去る時の方が本性が出るとかなんとか。

今回の話は、その"去り際"がいかに大切かを体験した昔話。



3年前に、付き合っていた人に振られた。
お互い我が強くて喧嘩も多く、振られたのも喧嘩の延長線だった。
だが、彼は別れ話をそこで済ませなかった。

「一旦冷静になって、2人で家帰ってそこでちゃんと話し合おう」

そう提案したのは、彼の方だった。

「俺は云々思うから別れたいんだけど、貴方はどう?」
と、自分の意見とともに丁寧に聞いてくれた。
もう彼に私への気持ちがない以上、このまま付き合っていたって仕方ないと思い、私は彼の意見を尊重することにした。


私たちは結婚して法的に結ばれた訳でもなんでもなく、所詮恋人という口約束だけの関係だ。
喧嘩の延長線で別れても悪くない。

だが、彼の去り際はあまりにも綺麗すぎた

まるで夫婦が離婚するかのような丁寧な話し合い。

一度持った関係を終わらすためには筋を通す必要がある、これが彼の考え方であり本性なんだとふられて初めて知った。
丁寧に話し合えば私ならわかってくれると、私のことを最後まで信用してくれていたことも、別れてから気がついた。

彼への未練はほとんど無い。
"ほとんど"と言ったのは、彼が通してくれた筋を、私も通すべきだと責任を感じているから。

彼のおかげで、自分が人間としてどうあるべきなのかの指針ができたのだから、直接会ってお礼がしたい。
彼が去り際に出した"人となり"が、私が一番好きなところなんだと伝えたい。
今でも、そんな彼が大好きだと。

それを伝えてやっと、私は彼のもとを去って未練が一切なくなるんだと思う。

去り際が大切だと彼に教わったから、私も綺麗に彼のもとを去りたい。
それがいつになるんだろう。来年こそは。

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