業務用野菜の現状~業務用だいこんについて~
こんにちは。アグリペディアの村山です。
アグリペディア株式会社では、今後日本の農業を担っていく大・中規模農家にフォーカスした支援事業を行っています。
現在は「販売先のマッチング事業」を主におこなっており、業務用野菜生産者様の支援の一環として、本ブログを開設いたしました。
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今回も引き続き、カット野菜の動向について簡単ではありますが解説していきたいと思います。
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今回は、業務用だいこんの特性、栽培方法について説明します。
業務用だいこんについて
だいこんは業務用として刺身のツマや大根おろしなどの生食用のものから、おでんの具など加熱調理用まで広く使用されています。
だいこんの生産量のうち、業務用だいこんは約6割を占めています。
業務用だいこんはほぼすべてが国産であり、輸入物はほとんどありません。
全体に占める契約取引の割合も5割以上となっており、他の野菜に比べて高くなっています。
しかし、だいこんは労働ピークが集中していることや、漬物の需要が落ちていることなどもあり、作付面積が減少している野菜の一つです。
業務用野菜の特性
下の表に生食用野菜と業務用野菜の特性の違いについてまとめました。
今回はこの表をもとに、業務用だいこんについて説明していきます。
業務用だいこんの商品形態について
形質
業務用だいこんでは、家計消費用とは異なり、首まで白い「白首大根」が求められます。
カット、煮物用共にカット時のロスや煮崩れを防ぐために水分量が少ないものが求められる傾向にあります。
スライス用などでは製品のサイズを一定にするため、先が細くないものが求められます。
規格
家計消費の生食用はLサイズが基本であるのに対し、業務用では2L以上が求められます。
業務用だいこんの価格について
家計消費用のだいこんの平均価格は83円/kg、業務用のだいこんの平均価格は76円/kgであり、野菜全体に比べ業務用でもあまり値段が落ちない傾向にあります。
業務用野菜は生食用よりも安い傾向にありますが、省力化により反収は高くなります。
反収については以前のブログで詳しく解説しているので、こちらをご覧ください。
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業務用だいこんの栽培について
栽培
業務用だいこんも他の業務用野菜と同様に、歩留りの良い大型規格が求められる傾向にあります。
栽培方法は大きく変わりませんが、畝幅を広くとり疎植にすることで大型規格の大根を育てましょう。
大型規格を目指す際に気を付けなければいけないのが空洞症、す入りなどの生理障害です。生理障害の出てしまっただいこんはカット用としては使用できず、廃棄が多くなるため適しません。
品種選定
今回は業務用に適した白首大根の品種を紹介します。
夏相撲・秋相撲(サカタのタネ)
サラホワイト(渡辺農事)
まとめ
今回紹介した業務用だいこんの特性について簡単にまとめていきます。
業務用野菜は歩留りが重視されており、大型規格が求められている
特にだいこんであれば、2L以上のもの
白首の品種を選定する
業務用だいこんは生食用と比べ、高い反収が見込める
次回の連載もお楽しみに!
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参考文献
フードシステムの革新と業務・加工用野菜 坂知樹
加工・業務用野菜をめぐる現状(H25.4) 農林水産省
加工・業務用野菜をめぐる現状(R3.4) 農林水産省
加工・業務用野菜需要への取り組みに向けた『品目別・用途別ガイドライン』 野菜ビジネス協議会
加工・業務用ダイコン新品種『夏相撲』『秋相撲』の種子発売 サカタのタネ
ダイコン新品種「悠白」と「サラホワイト」 日本政策金融公庫