「有機農業の未来を拓く」アグリガーデンスクールの最新研究活動
こんにちは!
アグリガーデンスクールです!
AGSAでは下記の4つのテーマについて、自治体、JA、民間企業と連携して研究活動を行なっています。
①BLOF有機実験水田
②有効堆肥の研究
③有機と慣行栽培の比較研究
④土壌データサイエンス
目的は土壌や作物に関するデータを取得・解析し、土の健康、植物の健康、人の健康とのつながりを明らかにすることで、健康向上につながる有機農作物の生産拡大、ひいては有機農業の発展に貢献することです。
今回の記事では4つの研究活動について紹介します。
【BLOF有機実験水田】
○概要
一般的に、お米を栽培するには除草剤・化学肥料を使って栽培するが、微生物や農業機械で有機水田を実現化できないかを実証・研究。
研究指導者:株式会社ジャパンバイオファーム代表取締役 小祝政明先生(AGSA講師)
関係者:うきは市、JAにじ、その他民間企業
○進捗状況
2022年度より進行。
今年度の栽培は終了し研究結果を評価中
○将来的な展望
国が進める、緑の食糧システム戦略においての目標である”2050年までに耕地面積に占める有機農業の取り組み面積の割合を25%(100万ha)に拡大”を達成する鍵になる研究となること。
お米栽培は除草剤と化成肥料をセットで使うという当たり前を覆すこと。
多様な微生物環境を育むことによる、お米の栄養価の変化。人や環境の健康へのアプローチ。
【有効堆肥の研究】
○概要
有機農業を推進していく上で堆肥の完成度は、良質な農産物を栽培できるか否かを大きく左右する。また、有機農業がその優位性を発揮し全国的に普及していくためには、地域の資源を活用した地産地消型の有効堆肥の研究が不可欠であり、ケーススタディーを重ねながら皆で研究していく。
BLOF理論において日本にある堆肥の殆どがアルカリ性に偏っており、本来の植物生理に有効な酸性の炭水化物系堆肥が農業の今後に非常にポイントとなる。
目的は、地産地消型堆肥の有効性の検証、堆肥の生産リードタイムの短縮と品質の向上の確認、同堆肥による地域の農産物の品質向上効果等、地域農業全体の付加価値向上を目指す。
研究指導者:株式会社ジャパンバイオファーム代表取締役 小祝政明先生(AGSA講師)
関係者:うきは市、JA筑前あさくら、JAにじ、研究ゼミ生、その他民間企業
○進捗状況
2023年度より進行
堆肥場の配管等の設置工事完了し、まもなく実証研究開始。
○将来的な展望:
世界的な化学肥料等のサプライチェーン構造が崩壊し、地産地消型の良質な堆肥生産が必要不可欠であるため、JAなどと連携して、地産地消型の堆肥生産モデルを確立し普及させていくこと。
その他、有効微生物を含んだ堆肥としての販売を試みる。
【有機と慣行栽培の比較研究】
○概要
慣行栽培圃場と有機栽培圃場における各種土壌診断項目を実際に調査し、有機と慣行における差異を科学的に検証。
実際の農産物の抗酸化力等成分データを取得し、同データと土壌診断のデータとの関連性を分析研究する。
有機栽培の価値と優位性を数値として示せるか。
◆物理性調査
・検土杖を使った土壌硬度・土質調査
・オーガーを使った土質調査
・貫入式硬度計による土壌硬度測定
・穴を掘ったうえでの山中式硬度計による土壌硬度測定、土壌断面調査
◆化学性調査
・土壌分析用の検体採取(圃場内5地点から土壌を採取)
◆生物性調査
・土壌微生物分析(糸状菌、色素耐性菌、放線菌、細菌、フザリウム菌)
研究指導者:オーガニック・ランド株式会社代表取締役 一百野昌也先生(AGSA講師)
関係者:JA筑前あさくら、JAにじ、その他民間企業、研究ゼミ生
関係生産者:元気ファーム、原田農産、さちまる農園
○進捗状況:
各種土壌分析結果(物理、化学、生物)の取得済み。
収穫が完了し、栄養成分の分析機関に送ったところ
○将来的な展望
有機栽培とは慣行栽培とは何が違うのかを、科学的なアプローチで見える化する。
最終的には「土壌データサイエンス」研究の成果とともに、有機栽培と慣行栽培の各データ比較と収益性の比較研究を目的としている。
【土壌データサイエンス】
○概要
有機栽培がうまくいく場合といかない場合との比較を、土壌データにより菌の働き具合を観察し、その違いをデータ的にどこまで分析できるかを試みる。有機栽培畑と慣行栽培畑の比較を行うが、前者については、BLOF有機畑以外に、放置杉や放置竹を丸ごと土に埋め、同有機物に付着している糸状菌による土づくりと有機栽培圃場を実現化し研究を行う。
菌ちゃん先生こと、吉田俊道先生が行っている”畝中央に丸太を入れることで肥料がいらない菌ちゃん農法”が現在話題になっている。
本研究ゼミの目的は、菌ちゃん農法に対する科学的エビデンスを取ることである。
具体的には、杉や竹などを畝の中に直接埋め込み、それが土壌にどのような影響を与えているのかをデータロガー(土壌センサー)を用いて調査する。
試験区は①慣行 ②杉(かんなくず) ③杉(生) ④杉(放置) ⑤竹(生) ⑥竹(放置)の計6試験区とする。
研究指導者:新潟食糧農業大学比良松教授(AGSA講師)
関係者:JA筑前あさくら他民間企業、研究ゼミ生
○進捗状況:
土づくり、播種・定植まで完了。
試験区ごとの土壌データが上がってきていて分析しているところ。
○将来的な展望:
有機圃場と慣行圃場での菌の活動状況をリアルタイムに把握できるシステムを確立
まとめ
アグリガーデンスクールは、これらの研究を通じて、健康で環境に優しい農業の実現に貢献していきます。有機農業の未来を一緒に考え、共に支えていきましょう。
最後まで、読んでいただきありがとうございました!