【AgriBus導入記録02】GMiniRで自宅にRTK基準局を設置する
はじめに
こちらは、農業向けガイダンスアプリ「AgriBus-NAVI」と自動操舵システムの導入記録シリーズとなります。
前回の記事で、自動操舵システムに必要なRTK測位の仕組みと、AgriBusシリーズ導入の流れを確認しました。
一般にRTK測位で自動操舵を行うためには「基準局」と「移動局」が必要で、基準局からの補正情報を移動局で受け取ることで高精度の測位が実現するのでしたね。
自動操舵システムを活用している方は、おそらく外部の基準局からの補正情報を使用しているのが一般的なのかな、と思います。
ですが「AgriBus-GMiniR」を基準局のGNSS受信機として使用することで、AgriBus-NAVI用の「マイ基準局」を自宅に持つことができます。
今回の記事では、当農場でどのようにGMiniR基準局を設置したかをまとめました。(僕も手探りで行っているため、もっと改善点もあるかもしれません)
【事前確認】参考マニュアル
下記の公式マニュアルに沿っていきます。
⬇︎「AgriBus-GMiniR」基準局用マニュアル
⬇︎Androidアプリ「AgriBus-GTools」マニュアル
【事前確認】基準局の設置場所について
設置場所については、以下の条件が必要とのことです。
・アンテナの水平面の周囲15°上方に遮蔽物がないような場所
・GMiniRがWiFiを受信できる場所
アンテナのコードの長さが5mというのも気をつけなければいけませんね。
僕は最初、自宅や倉庫にブラケットを付けてアンテナを上げようかと考えていたのですが、敷地内のちょうど良い場所に単管パイプで立てた防風ネットがあったので、それを利用することにしました。
⬇︎(参考)公式ページ:アンテナ設置例の紹介
用意するもの
AgriBus-GMiniRとアンテナ
農業情報設計社で販売しているセットを購入しました。小型のGNSS受信機「AgriBus-GMiniR」と5m長さのアンテナ+USB充電コードがセットになっています。アンテナは防水で底面に磁石が入っており、鉄板などに固定できるようになっています。
鉄板(チップソーなど)
アンテナの下に直径10cm〜20cm程度の鉄板を敷くことで、地面から反射する余計な電波を遮断し、衛星から直の電波のみを受信するため測位が安定するようです。鉄板、チップソー、鍋蓋などなんでも良さそう。僕は使い古したチップソーを使いました。
コルゲートチューブ
念の為アンテナのコードを保護するため使用しました。こちらの内径5.2mm・10mのものを半分に切って使用するとちょうど良かったです。(もう半分は移動局用に使います)
防水ウォルボックス
AgriBus-GMiniRを入れるためのボックスです。アンテナは防水ですがGMiniRは防水でないため、屋根付きのこちら(約縦295mm×横196mm×深さ150mm)を購入しました。ただ少し横幅が狭かったので、もう少し大きいものにした方が良かったかもしれません。
その他、
・Wi-Fiが接続できる環境(光回線、LTEなど)
・USBで電源が取れる環境(USB充電器、延長コード)
・アンテナを高く上げるためのもの(単管パイプやクランプ、アンテナブラケットなど)
…といったものが、基準局を設置する場所に応じて用意が必要です。
GMiniRとアンテナ設置
アンテナの準備
アンテナのコードをコルゲートチューブで保護し、アンテナをチップソーにくっつけます。アンテナの底面にはそこそこ強い磁石が入っているので、特別固定の必要はありません。
(下の画像ではチップソーにカバーと防水テープを使用しています)
支柱にする単管パイプに接続できるようにクランプを取り付け。
チップソーとの間に余っていた木材を挟め、それにクランプを固定しました。
アンテナ設置
防風ネットに支柱となるパイプを立てて、その先端に先ほど作ったアンテナを取り付けます。アンテナのコードが5mあるので、上げられるだけ上げてみました。
設置後はこんな感じになりました。撮影の向きでわかりづらいのですが、アンテナは左の防風ネットより高く上がっています。
GMiniR設置
次に、GMiniRを入れるためのウォルボックスを支柱に取り付けます。
このウォルボックスにGMiniRを入れ、アンテナからのケーブルとUSB充電コードを接続。
そしてUSB充電器と延長コードで電源を取り、GMiniRの「Status」のランプが光ったら設置完了です!
Androidアプリで設定を行う
GMiniRとアンテナの設置が完了したら、次にAndroidアプリ「AgriBus-GTools」で基準局のセッティングを行ないます。
アプリのマニュアル通りにインストール、ログインを行い、「基準局の設定」の項目に従って設定していきます。ここでは、補足事項のみ触れておきますね。
・GMiniRファームウェアのアップデート
これは初期設定時だけではなく、こまめに最新版がアップデートされていないか確認する必要があります。
・アンテナ位置
ここで時間を選択し、その時間放置しておくことで、GMiniRでの「単独測位の平均値」を算出して基準局の座標を決めているようです。
マニュアルでは推奨時間は「5分」とありますが、測量屋さんは「20分程度」放置して算出するのが多い、というお話を聞きました。
より正確な座標で固定したい場合は、長い時間を選択して時間かけて設定するのが良さそうです。
おわりに
以上で、基準局の設置とセッティングが完了です。
なかなか最初はわからないことも多く、SNSで教えていただいたりして設置することができました。
GNSS自動操舵に早くから取り組んでいた先輩農家さんに聞いたところ、かつて基準局の設置には数十万もする機器を導入する必要があったようです。
ですがGMiniRを使うと数万程度と安価に、しかも僕のような素人でも設置して使うことができてしまう…。時代の進歩と開発の結晶を感じます。
さて次回は、トラクターにGNSS受信機「AgriBus-G2」とアンテナを取り付けて、移動局を用意していきたいと思います!
参考リンク
公式ヘルプページより、基準局に関して気になる項目を挙げておきます。