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いい大学に行って大企業に入ることが幸せ? ファーストジェネレーションとして東大京大に入って思うこと

こんにちは。双子のトコトコ(姉、京大卒)です。
今回はファーストジェネレーションを切り口に「いい大学に行って大企業に入ることが幸せなのか」について書きたいと思います。

ファーストジェネレーションとは、家族の中で初めて大学に進学した人のこと。
私たちの家族は高卒のため、双子はファーストジェネレーションの当事者です。

海外では認知度が高く、ハーバード大学やカリフォルニア大学などでファーストジェネレーションの奨学金があります。日本では東京工業大学のみです。

ファーストジェネレーションの体験談があまりネットに落ちてないので、書いてみようと思います。

この記事はこんな方におすすめです。
・ファーストジェネレーションについて知りたい
・子どもを大学に入れようか迷っている
・ファーストジェネレーションになりたい!と思っている受験生
・いい大学に行って大企業に入るのが幸せなのか?と疑問を抱いている
 →本題は後の方に書いています


双子はなぜファーストジェネレーションになったのか

我が家は、常連さんたちで満席になるような小さな居酒屋を営んでいます。

曽祖父の代から飲食業をしており、3人の娘(双子+姉)のうち誰かが居酒屋を継ぐんだろうな、という期待感でごく普通に育てられていました。

中学生になると突然双子の学力は頭角を現し、偏差値30代から半年ほどで75まで上がりました。
その時の勉強方法はこちらのnoteにまとめています▼

中学2年生の頃には全県・全国模試で双子で5位以内にランクインするまで成長したことで、家族からはさまざまな反応が出ました。

母親は勉強に励む双子を見守っていてくれたのですが、古い価値観の祖父は勉強する意味が分からなかったようです。
「女は愛嬌」「学歴なんていらない」と顔を合わせるたびに言われていました。

双子はそんな祖父をガン無視し、塾の先生が応援してくれたおかげで、県内でもそこそこ優秀な県立高校に入学することができました。(この頃から祖父は何も言わなくなった)

進学校においてもトップの成績を収めていた双子ですが、どんなに優秀だろうと、人生の選択肢の中に「大学進学」がありません。

そのため、進路希望調査では「ハリウッドに行く」など適当なことを書いて先生を困らせていました。

小さい頃から祖父母に「大学に行くのは優秀で金持ちな一部の人たち。私たちの時代には、大学に行く人なんていなかったのよ」と言われていました。
そのため、我が家から大学に行くのは無理だと思っていたのです。

さらに、家庭内に大学進学者がいないことから、大学に行って何ができるのか、大学に行くとどうなるのか、まったくイメージが湧きませんでした。

そんな中、高校がそこそこの進学校だったため、大学に行くことを前提に進路指導が進んでいきます。
そもそもなぜ大学に行かなくてはいけないのか?を教えてくれた先生はいませんでした。

大学に行く気はない。でもまだ働きたいわけじゃない。
どうすればいいのか分からないんです、と部活の顧問の先生に相談したら「大学に入ったらなんとかなるよ」と返ってきました。
その言葉に妙に納得した私は、その言葉を胸に受験勉強に励みました。

通っていた高校は熱心な先生が多く、積極的に受験情報をくださったり、個人指導してくれたりと大変お世話になりました。

そして妹は東京大学に、姉は京都大学に入学し、晴れてファーストジェネレーションとなりました。

カルチャーショックの連続だった大学時代

ファーストジェネレーションとして東大京大に入ると、驚きの連続でした。

親が大卒なのは割と普通なことだった

同級生の親の話を聞いていると、どうも皆んな大学を出ているらしいことに気づきます。親が東大京大卒、お医者さん、大学教授をしているという子も珍しくないのです。

祖父母から「大学に行ける人は珍しい」と言われて育ってきたので、親世代でも大学に行っている人がいるんだ…!と驚きました。

ホンモノのお坊ちゃま、お嬢さまに初めて触れる

東大や京大には、ホンモノのお坊ちゃまやお嬢さまが”わんさか”います。

例えば、同級生に大手会社の社長の息子がいたのですが、彼女が出来たから今度初デートに誘うんだ、とスポーツカーを一括で買っていたのが衝撃的でした。

こちらは今月の家賃の支払いに追われているのに、初デートのためにスポーツカー…!?
今まで知らなかった世界が垣間見えた瞬間でした。

また、ノソノソが東大1年生で、私が浪人していた時のこと。
東大の文化祭の日に、妹が有名店のマカロンを持って帰ってきました。
同級生のお母さまからの差し入れで、有名店のマカロンが1人1箱配布されたとのこと。

マカロンといえばおしゃれで特別な日にしか食べられないイメージがあったので、差し入れでマカロンを持ってくることに衝撃を受けました。しかも1人1個じゃなくて、1箱ですよ。
東大に入る子は育ちが違うなぁと思った出来事でした。

文化的素養の無さを痛感させられる

東大京大生のほどんどは文化的教養、つまり映画、文学、絵画、演劇、音楽、異文化交流などを自然と嗜んでいます。

「あの映画のこのシーンがいいよね」「その音楽はレコードを持っている」「その国は前にホームステイをしたことがあって」など会話の節々にそれが感じられます。
ハイソサエティーとはこのことか! と圧倒されました。

なぜその文化的素養があるのかを聞いてみたことがあるのですが、親がやっていたから自然とそうなった派が圧倒的に多く、自分で身につけた人はごく少数でした。

大学に入って初めてその世界を知った私は、これまでの遅れを取り戻そうと必死に文化的素養を身につけようとしました。

例えば、映画は「ドラえもん」と「名探偵コナン」しか観たことがありませんでしたが、大学の図書館で名作と呼ばれる作品を一通り観ました。

また、美術館は高校の美術鑑賞の授業をきっかけに行っていましたが(中学までは絵画を見に行ったことがなかった)、大学生になってからはさらに頻繁に行くようになりました。

ファーストジェネレーションが抱えがちな悩み

経済的な問題

我が家では「大学に行かせるお金はない」と言われていたので、大学では授業料の全額免除に加えて、無利子の奨学金をもらっていました。

また、それだけでは足りないので、バイトを掛け持ちしたり副業をしたりしてやりくりしていました。家からの仕送りはありませんでした。

東工大のようにファーストジェネレーション向けの支援があったら、もっと気楽な大学生活だったのかなと思います。

進路について家族に相談できない

大学の世界を知らない家族にとっては、大学生活も大学進学後のキャリアも未知の世界です。

大学に入ってから家族に何かを相談したことは一度もありません。

同級生の話を聞くと、両親が大卒なのは当然ながら、お母さんが国家公務員として働いていたり、お父さんが大学教授をしていたりするので、相談したり便宜を図ってもらったりしてるらしいのですが…。

家族で初めてアカデミックな世界に足を踏み入れているノソノソ(博士課程)には頭が上がりません。

大企業のサラリーマンか公務員になることを(いまだに)夢見られている

小さい頃からサラリーマンになりなさい、公務員になりなさいと呪文のように祖父母に言われていました。
自営業で苦労してきた彼らにとっては、安定した生活こそが幸せに見えたのでしょう。

双子が東大と京大に入ってからは「いい大学に入ったのだから大企業のサラリーマンか公務員になる…はず…!」と期待していたのではないかと思います。

実際には2人とも全くそうならず笑ってしまうのですが、いまだにその圧を感じるため、私は京都に物理的に逃亡しました笑。彼らの意見を聞き入れるほど器が育っていなくて…。

関東にいるノソノソはよく祖父母に耐えられるなぁと感心しています。

そもそも就活の時に大企業を何社も受けましたが、第一面接でものの見事に弾かれました。

この時ほど「大学名よりも育ちが大事だったのか」「サラリーマンにはサラリーマンの子供しかなれないんだ」と思ったことはありません。

就職活動についてはこちらのnoteに書きました▼
(就活部分は無料公開しています!)

*祖父母と違って放置してくれる母親には、本当に感謝しています

ファーストジェネレーションの意義

そんな苦労だらけのファーストジェネレーションですが、私たちのような人間が大学に入ることで、大学や社会に多様性が生まれると思っています。

なぜ多様性が大事なのか?
それは、多様性を認めることは、個性を尊重することと同義だからです。
製造業で国が栄えた時代は「みんな同じ」である方が生産効率が上がりましたが、そんな時代は終わりました。

一人ひとりの個性や能力が発揮された方が生態系として強くなりますし、なにより個人が楽しく生きられると思いませんか?

話が大きくなってしまいましたが、とにかく「高学歴や金持ちの親を持つ人しかいい大学に入れないのはおかしい」と思っており、それが発信活動の原動力になっています。

そもそも私たちが多様性を生み出す一員として大学に入れたのは、大学受験は実力次第で下剋上できるシステムであることが大きいです。

大学に入ること、いい大学に入ることが最善だとは思っていません。
しかし、塾や高校の先生方のおかげで違う世界を知ることができたことは、私たちの財産になっています。

もし受験生の方で進路に迷われている方がいたら、大学進学を視野に入れてみることをおすすめしたいと思います。

【本題】いい大学に行って大企業に入ることが幸せなのか?

いい大学に入ること、大企業に入ることはあくまで表層的な事象であって、それイコール幸せとは限りません。

では幸せとは何なのか。

多くの選択肢を持つこと、そしてその選択肢の中から主体的に選択することこそが、幸せなのではないかと思います。

かなり抽象的になってしまったので具体例で説明します。
私たちの高校卒業後の進路に「大学進学」が加わり、自分たちが納得した上で選択したことで、より能力に合わせた道に進むことができたのではないかと思っています。

ここで注意してほしいのは、「選択肢を多く持つだけでは、幸せになれない」という点です。幸せになるためには、主体的に選択するプロセスを経ることが大切です。

20〜30代の方には特に納得していただけると思うのですが、今は選択肢が多すぎて、逆に進路やキャリアに悩みませんか?

「選択肢が多すぎて悩むなんて贅沢」と思う方もいるかもしれませんが、決められたレールの中で悩んでいた昔とは、悩み方が違う気がしています。

私の具体例で説明すると、ちょっと前まで住む国も職業も決まらないという、選択肢が無限に広がっている状況に悩んでいました。

<住む国について>
日本に住んでもいいし、ワーホリでニュージーランドにも行けるし、ヨーロッパ移住も捨てがたい。東南アジアもいいかも。
自分がどの国にいれば幸せになれるのかが、分かりませんでした。

とりあえず住む国を決めなければ何もできないと思ったので、仕事を辞めて海外に下見に行きました。

居場所を求めて海外放浪した様子はこちら▼

そして東南アジア、オセアニア、アメリカ、ヨーロッパを見て回った結果、しばらくは日本に、その中でも思い入れのある京都に住むことにしました。

今は海外に出たいという気持ちは不思議とありません。あんなに旅行に行きたがっていたのに、今はそこらへんを歩いているだけで幸せです。

実際に海外に行って選択肢を自分の目で確かめ、主体的に選択したからこそ満足できていると思っています。

京都は歩いて山に行けるのが魅力です

<職業について>
職業についてですが、自分に合う職業が分からず「どんな職業が向いていそうか」と知人に聞いて回りました。
すると営業、ライター、医者、大工、コンテンツディレクターなどを挙げていただきました。

色々出来そうだということがわかった反面、結局何になればいいのかが分からず、かなり迷いました。誰かに決めてもらった方が楽だとさえ思いました。
マルチポテンシャライトの方はこの傾向にあると思います。

マルチポテンシャライトを知りたい方へ▼

バイト15個以上、正社員3社など考えられる選択肢を1つ1つ試していった結果、「職業に自分を縛るのはやめよう」という結論に至りました。

複数のバイトや事業を掛け持ちして、ワケのわからない状態になっていることが心地よいことに気づいたのです。現在の私の職業は”自分自身”です。

私の例は極端かもしれませんが、選択肢をたくさん用意した上で、その中から主体的に選ぶことで、生き方に納得感を持てる気がしています。

「今自分は幸せじゃないなぁ…」と思われている方がいるとしたら、それは選択肢が少なすぎるか、または主体的に選択できていないからかもしれません。

・就職するには大学に行かなければいけないと思っている
・今の会社で働き続けないといけないと思っている
・親やパートナーが選択の主導権を握っている
・家事は自分でしなければいけないと思っているなど

主体的に主体的にと書いていて、ふと「7つの習慣」の第一の習慣が「主体的であれ」であることを思い出しました。

何度も読みたくなる名著中の名著です。まだ読まれていない方は、ぜひこの機会に読んでみてくださいね。

私もせっかく思い出したので、明日再読します。

まとめ

さて、今回はファーストジェネレーションについて書かせていただきました。
最近記事を書くと5,000字を超えてしまいます。長くなってしまってすみません💦

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
有益な情報を発信していきますので、今後ともよろしくお願いいたします🐼
(この記事は執筆トコトコ、校正ノソノソでお送りしました)


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ノソノソとトコトコ|東大&京大卒の双子
最後までお読みいただきありがとうございました😊 チップをいただけると、オスカー・ワイルドの「幸福な王子」に出てくる、美しいサファイアが届けられた若い劇作家のように執筆がはかどります。 「これは誰か、熱烈なファンからのものだ。 これで芝居が完成できる!」

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