流通量1%未満!幻の豚でつくるハンバーグ誕生秘話(2)
農業のチャレンジを紹介するアグリノート。
前回に引き続き、花咲牧場が挑む、幻の極上豚「SUPER 9」を使ったハンバーグづくりを取材していきます。
前回の話はこちらをご覧ください。
いよいよ、「SUPER 9」のハンバーグづくりに挑戦! という矢先、「極上肉の選別ができない」という壁が立ちはだかりました。
そこで、土屋さんは普段からお付き合いのある、
風見さんに相談することにします。
少なすぎて選別できない!希少さが阻んだ加工の壁
風見さんは、農場から出荷される牛や豚の評価、加工を行うJA全農ミートフーズに所属しています。
まずは、肉の選別について聞きました。
—— なぜSUPER 9だけを選別することができないのですか?
風見さん:その理由は、極上評価となる豚の数があまりに少ないためです。
極上は一日に集まる豚の1%にも満たないので、それを選り分けているとコストが嵩みます。全国的に見ても等級で選別を行っているところはないのではないでしょうか。
・・・なんと、その希少さゆえに、選別にコストがかかりすぎるとのこと。
これでは「SUPER 9」100%のハンバーグはできません・・・。
しかし、それではめげない土屋さん。
花咲牧場の社長の田口さんと一緒に、何度も交渉を重ねていくことになりました。
風見さん:花咲牧場とは私が入社する前からの古い付き合いで、お互いに持ちつ持たれつの関係にあります。私も「SUPER 9」のハンバーグづくりに、とても興味を持ちましたので、なんとか実現する道はないか探っていきました。
「極上」選別を実現したのは、熱意だった
風見さんは、それから加工現場のメンバーと話し合いを進めます。
はじめは難色を示していたメンバーもいましたが、次第に熱意に動かされていったそうです。
—— 何が風見さんをそこまで動かしたのでしょうか?
風見さん:一番は花咲牧場との信頼関係でしょうか。社長の田口さんとの毎週のやりとりの中で、教えてもらうこともあれば、こちらの無理を聞いていただくこともあります。
また、極上の豚を育てられる農場はほとんどありませんが、花咲牧場では、毎日平均して15%ほどの割合で「極上」の評価がつきます。これならば会社としても実現できるのではないかと、社内で交渉を進めました。
—— 今までなかったことをするなんて、簡単なことではないですよね。
風見さん:前例がない取り組みですので、何ができて、何が難しいのかを明確にする必要がありました。できないとしたら、やり方を変えればできるのか、できる方法はあるのか、といった具合に。田口さん、土屋さんとも何度も話し合い、なんとか実現可能な方法に辿り着きました。
—— すごい!「極上」選別は花咲牧場だからこそ実現できたんですね!
風見さん:私も実現できてホッとしています。最終的には、信頼感と熱意に、みんなが動かされたんだと思います。 これは加工現場からの声ですが、花咲牧場の豚はビシッと体格が揃っていて、肉と脂のバランスがよく、ナイフが入りやすい。つまり、加工がしやすいんです。そういった飼育に対するプロの姿勢に、現場のメンバーも心を動かされたのだと思います。
こうして、前代未聞の「極上」選別が可能になり、ようやく「SUPER 9」100%のハンバーグづくりがスタート。
どんな味わいのハンバーグができあがるのでしょうか?
その答えはなんと埼玉から遠く離れた、山形にあるとのこと。
次回、製造編へ続きます。
(つづく)