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流通量1%未満!幻の豚でつくるハンバーグ誕生秘話(1)

農業のチャレンジを紹介するアグリノート。

今回取材したのは、埼玉と群馬を拠点に豚を飼育する『花咲牧場(はなさきぼくじょう)』

2021年にブランドリニューアルをし、世界的に有名なウイスキーブランドとのコラボも話題になった同社の、ハンバーグづくりの挑戦について取材しました。

(※ご注意 生キャラメルが有名な北海道の牧場ではありません。よく間違えられるそうなので、この機会に覚えてくださいね!笑)


飼育技術日本一!? 知る人ぞ知る名農場『花咲牧場』

花咲牧場の前身、加須畜産《かぞちくさん》は半世紀以上に渡り、養豚一筋で生産を続ける農場です。

三年前から埼玉県の「はなさき」という地名にちなんで、花咲牧場としての活動をスタートしました。

花咲牧場の合言葉は「うまさ満開。」
これまで日本最高賞とされる農林水産大臣賞をはじめ、
さまざまな賞を受賞するなど、その生産技術はトップレベル。

高級スーパーやレストランなどを中心に、時間と手間をかけて丁寧に育てた豚を全国に届けています。

また近郊の事業者とのコラボレーションも積極的に進め、
先に書いたウイスキーブランドとのコラボや、
天然ハーブを生産するポタジェガーデンとコラボしたハーブソーセージの販売など、ちょっと変わったチャレンジをされています。

そんな花咲牧場が、つくるハンバーグ。
一体どんなハンバーグになるのでしょうか?

生産激ムズ!A5ランク牛以上に希少な「極上豚」

今回花咲牧場が挑戦するのは、高い飼育技術を活かして育てた「極上豚」だけを使ったハンバーグです。

え、極上豚?聞いたことがないですよね。
まずはここから、紐解いていきます。

牛の「A5」ランクにあたるものが、豚の「極上」

① A5の牛は何%?

ステーキなどで「A5ランク」という言葉は聞いたことがあると思います。
これは牛の等級を表す基準で、
肉質、サシとよばれる脂の入り方などを審査してランクづけされます。

では、A5ランクの牛はどれくらいの割合なのかご存知でしょうか?


・・・答えは、約30%(※出典:公益社団法人日本食肉格付協会)

意外と多い、と思われた方も多いのではないでしょうか。

生産者の努力と技術の向上によって、
全体の半数を占めるようになってきました。
私たちの目に触れることが多くなっているのは
このような理由だったのですね。

② 極上豚は幻レベル

では、極上豚とはどのような豚肉なのでしょうか?

豚の等級には、極上、上、中、並、等外という
5つのランク分けの基準があり、
牛のA5ランクにあたるものを「極上」と呼びます。

外観、背脂の厚み、肉質、肉づきなど、9つの審査基準の全てで最高評価を得たもののみが極上の等級を獲得できます。

なんとその割合は全体の1%未満(!)
飼育の難しさを物語っていますね。

豚の「極上」ランクは、牛の1/30に満たないほど希少

花咲牧場ではこの“幻”の豚を育てるために、
最新設備の導入、エサや環境の整備、毎週行う一頭一頭の身体検査など、
手間をかけてじっくり飼育に向き合い、
年間を通して安定的に極上豚を育てることができているそうです。

花咲牧場では極上豚のことを、
審査項目である9つの基準から「SUPER 9(スーパーナイン)」と呼んでいます。

SUPER 9のロゴマーク

(余談ですが、改名した某8人組男性アイドルグループの名前に似ていると言われることがありますが、花咲牧場はこれ以前に名付けていて、関連性はありません。わたしはSUPER EIGHTを応援しています)

「SUPER 9」ハンバーグづくりがスタート。しかし・・・

こうしてスタートした、極上豚「SUPER 9」のハンバーグづくり。
企画者の花咲牧場・土屋仁志さんに、お話しを伺いました。

土屋仁志さん(花咲牧場)

—— どうして「SUPER 9」のハンバーグをつくろうと思ったのですか?

苦労して飼育しているSUPER 9ですが、世の中の人にはまだまだ知られていません。私たち花咲牧場の特徴とも言えるその商品を、もっと手軽に味わってもらう方法はないか、と考えたのがきっかけでした。

—— そもそもですが、豚のハンバーグって珍しいですよね?

はい。みなさんに馴染みがあるのは牛と豚の合挽きハンバーグではないでしょうか。松阪牛や仙台牛などブランド牛肉100%のハンバーグもあります。これをヒントに、「SUPER 9」100%に挑戦してみよう、と思いました。

—— ただでさえ少ない「SUPER 9」を、しかも100%でハンバーグにするなんて、とても贅沢に感じます。飼育する難しさはわかるのですが、加工することも難しいのですか?

加工の難しさ、もありますが、仕組みづくりが難題でした。というのは、豚肉の世界は分業化が進んでいて、飼育業者、食肉に加工する業者、卸業者、販売業者と分かれています。
食肉加工業者さんにお話しを伺うと、極上の評価が付く豚が極端に少ないことから、SUPER 9 だけを選別する、ということ自体ができないことがわかったんです。


え・・・、材料が集められない??
いきなり雲行きが怪しくなってきました・・・。
次回、加工編へ続きます。
(つづく)