農業収支の「見える化」って大切 初めての青色申告準備で実感
妻が用意してくれた専用の箱があふれそうになっていた。1年分の領収書や売り上げ明細書がぎっしりと詰まっている。「あぐりげんき」として初めての青色申告。11月末から仕訳に取り掛かり、夜な夜なパソコンに向かう。が、なかなか進まない。まるで、夏休み終盤の宿題に追われる小学生のよう。
昭和世代、アナログが分かりやすい
紙のレシート、請求明細・領収書、売り上げ明細書。加えて、ネットで購入した商品やカードの明細書や領収書はpdf。紙とデータが混在し、頭が混乱する。本来なら、紙をデータ化してから、仕訳するのが正解なのだろう。ただ、昭和世代。まず、紙のレシートなどはルーズリーフに貼り付け、pdfは印刷して、分厚いファイルにまとめた。やっぱり、アナログが分かりやすい。頭の中も整理されてきた。
テキスト「農業簿記3級」傍らに四苦八苦
ノートパソコンを開き、昨年、購入していた「農業簿記3級」のテキストを傍らに置く。使っているソフトは「クラウド円簿」。まだ、農業収入が多くないので、できるだけコストを抑えたいと、無料ソフトを使うことに。
まずは、「支払い」を複式簿記で記入していく。「借方」に購入商品、「貸方」に支払った金額を記入。「あれっ、カード支払いはどうするんだっけ」。農業簿記テキストを読み返しながら、記入方法を確認。あーー、進まない。でも、避けて通れない。
12月中旬には何とか、「支払い」を入力し終えた。年末は、大掃除、餅つき、倉庫の整理…と、慌ただしかった。新年の幕開けは、好天。久しぶりに初日の出を拝んだ。帳簿入力は2日から。
突然すぎるお知らせ 2月から「有償化」
久しぶりにパソコンを開く。「えっ?」。『クラウド円簿の有償化についてのお知らせ』と、画面にポップアップされた。2月15日で無償提供が終わるというのだ。経費節減のため、無料ソフトにしたのに。もう、カスタマイズもして、使い方にも慣れてきたのに。何より、すでに「支払い」の仕訳入力は終わっているのに…。しばらく頭の中が真っ白になった。
別の有料の会計システムに乗り換えようか、とも考えた。これまでの入力作業を一からするのかと思うとぞっとする。「有料にするんだから、これまで不満だった機能も改善してくれるだろう」。期待も込めて、有償契約に切り替えた。これも必要経費。経費に見合う収益を挙げよう、と頭も切り替える。
「支出」「収入」の入力を終え、残るは、カード支払い明細、通帳の追加入力と照合作業。そして、すべてデータ化して、分かりやすいように整理しておく。データ化していないと、青色申告のマックスの控除(65万円)が受けられないから。
「10時までの男」
炬燵に座って、午後8時半ごろから入力を開始し、1時間半もすれば息切れしてくる。眠くなる。隣でテレビを見ていた妻が「10時までの男やな」と、ぼそっとつぶやく。「あぐりげんきの社長はあんただろうー」と、叫びそうになる。
「見える化」って大事だと実感
2023年まで、何となく支出し、何となく売れて、を繰り返していた。いざ、帳簿を付けてみてわかる。経費がどれくらいかかったのか。どの作物がいくらで売れたのか。そして、収支は…。初年度は赤字。機械類を揃えたし、育苗ハウスも建てたし。まあ、仕方ない。複式簿記を付けていると、来年度以降の収支計画や栽培計画も見えてくる。
以前、noteに土壌成分の「見える化」が大切という記事を書いたが、収支の「見える化」も、農業経営には欠かせないな、と実感した2025年のスタート。確定申告開始まであと1か月。「10時まで男」を積み重ねていこう。
(あぐりげんき)