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九州3県乗り潰し ~クラシエカップ準決勝観戦を兼ねて~
2024年11月3日、J1リーグ最終節 ガンバ大阪対サンフレッチェ広島のチケット発売日、発売時刻を勘違いして見事にチケットを取り逃した。数日後、若干の失意を抱えつつ、WEリーグ クラシエカップ第6節の東京NB戦に向かい、見事に引き分けで準決勝進出を決めたサンフレッチェ広島レジーナ。西が丘サッカー場を出るときに知り合い数名にラインを送った。
「長崎にクラシエカップ準決勝を見に行こう」
長崎といえば、秋に新しいサッカー専用スタジアムができたばかり。J1最終節とクラシエカップ準決勝の日程が被っているのは若干センスが無いが、最終節のチケットを取り逃した今、長崎に行かない理由はない。こうして12月8日に長崎遠征が決まった。どうせ長崎に行くなら、福岡、佐賀、長崎を乗りつぶしてしまえ。近年にしては珍しくしっかりとした旅程を組みはじめた。
自宅→羽田空港
早朝の東京都、すっかり寒くなってきた薄暗い2024年12月の街を歩いていく。近年は夏場の遠出が多いこともあって、冬場の早朝は新鮮な気がする。バスに乗り換え、渋滞に巻き込まれつつ向かう羽田空港。普段は第2ターミナルのことが多いのだが、今日は数年ぶりに第1ターミナルに降り立つ。
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羽田空港7:35→北九州9:30 SFJ73便
足早に搭乗手続きを済ませ、少しだけお土産を買い込んで、今回乗るのはスターフライヤー。初めて乗り込むその機材は黒を基調として落ち着きと高級感がある。ほどほどに睡眠不足の私はタクシング中に居眠りを決め込んだ。
「機内では、JR九州のフリー切符を……」
そんな機内放送が聞こえてきて目が覚める。さすがは北九州の航空会社だなと思いつつ、どんな切符が買えるのかと聞いてみた。今回の旅行では”旅名人の九州満喫きっぷ”を使うことにしているのだが、これは都内では買うことができず、旅先のどこかで買わないといけない。機内で買うことができるなら最高なのだが、残念ながらラインナップにはなかった。
気がつけば高度が下がってきて、周防灘を横目に北九州空港に着陸する。
北九州空港9:52→朽網10:10
ターミナルを歩いてバス停に向かう。小倉行きのバスはもう満席という案内ができていたが、朽網行きの一般路線バスも例外ではなく相当な混み具合で、少し遅れながら進んでいく。果たして朽網駅で“旅名人”を買う時間があるか、そもそも券売機があるのか、そんなことを考えつつスマホを眺めていてハッとした。朽網駅の出発は10:25と思っていたのだが、どうも10:15らしい。これは切符が買えるかよりも乗り換えができるかどうかのレベルになってくる。
朽網10:15→行橋10:32
混雑する中、順番にバスを降りて時計を見る。10:13。すでにホームからは入線の放送が流れてきていて、エスカレーターの長蛇の列を横目に階段を駆け上がる。手持ちのICカードで改札を抜けると、ギリギリで電車に飛び乗った。
電車は行橋に向かって快走していく。この先の行橋も乗り換え時間は3分、1時間後の次の列車でも最悪は大丈夫なのだが、この先の行程を考えるとここで無事乗り換えができるとありがたい。行橋駅に着くと、目の前は階段。これは幸いだった。
行橋10:35→金田11:53
駆け足気味に向かったのは、構内の端にある平成筑豊鉄道のホーム。エンジン音を響かせながら待っているディーゼルカーに乗り込むと、先ほどの電車よりも乗客がすくなくて穏やかな空気が流れる。朽網、行橋と連続して忙しないが、無事乗り換えが完了した。
列車は平野を駆け抜けていく。しっかりした駅舎が多く、ネーミングライツでも導入しているのか、周辺の企業名を冠した個性的な駅名が多い。心地よい日差しを浴びながら微睡んでいると終点の金田に着く。運転士に直方までの運賃を渡して清算済み証を受け取るとホームに降り立った。
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金田11:59→直方12:21
金田駅で列車を乗り換える。気がつけば隣にも線路が走っている。このあたりはかつて石炭産業で栄えていたが、複線になっているのはその名残らしい。川に沿いつつ林の中を突き進んでいくと、徐々に土地が開けてきて、瓦屋根が目に入ってくる。筑豊本線と合流して終点の直方駅に着く。
直方
屋根と小さな建物で構成された簡素な改札を抜けて階段を上がっていく。改札の手前にもはや絶滅危惧種に近いみどりの窓口を発見して駆け込むと、ようやく“旅名人”を入手することができた。改札で入鋏だけ済ませると、ここで昼食にする。どこか適当な食堂に駆け込もうかとも思ったのだが、時間が微妙なのもあり、目の前に停まったうどん屋に入ることにする。福岡といえばラーメンが浮かぶが、うどんも有名どころ、丸天うどんを選んで美味しく頂いた。
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筑豊直方13:00→黒崎13:34
うどんを平らげると、駅前を歩いていって、筑豊電鉄の駅を目指す。シャッターが目立つ物寂しいアーケードに心惹かれてその道に入っていく。ゆっくりと周囲を見渡しながら足を進んでいくと、途中に洋服屋があって、年配の店員が一人腰を下ろしている様子が見える。自転車に乗った地元の少年たちとすれ違った以外はほとんど人と会わなかったアーケードを抜けると、突然高架の駅が現れる。
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階段を上がるとこぢんまりとしたホームと堂々としたレールが目に入って、どこかアンバランスに感じられてくる。暫く待っていると路面電車が現れた。故郷、広電宮島線のように、路面電車スタイルの電車が豪快に走っていく。釣り掛けモーター独特の低い音が車内に轟いて、幼いころに慣れ親しんだ路面電車の感覚が蘇ってくる。車内は徐々に人が増えていって、大きなビルの1階に位置する黒崎駅に入っていく。
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黒崎14:03→基山15:23
階段を上っていくと少し甘い良い匂いが漂ってくる。その匂いに惹かれて向かっていくと、量り売りのクロワッサン屋があって、思わず一つ買ってしまった。
ここから先は甘木鉄道に乗るべく鹿児島本線を進んでいく。この日はJ1昇格プレーオフ決勝の真っ只中、テキスト速報を見つつ列車に乗っていたのだが、ファジアーノ岡山がリードして迎えた最後の10分間はスマホで中継を見ていた。ちょうど博多駅の手前で試合終了、岡山の昇格が決定した。最初にファジアーノの存在を知ったのは2006年、まだ地域リーグのころだったが、18年後、こうしてJ1昇格の場面に立ち会えたのは感慨深い。
昇格の余韻に浸りつつ、列車は基山駅に到着する。やや西日が強くなってきたなか、少しカーブしたホームに降り立った。
基山15:26→甘木15:52
ここも乗り換え時間は3分、駆け足気味にホームに向かってディーゼルカーに乗り込むと、車内からは福岡の方言での世間話が聞こえてくる。発車時刻になると列車は力強く進み始め、高架を進んでいく。暫くすると大分自動車道と並走し、小郡駅に着く。この駅は西鉄との乗換駅ということもあり、多くの人が車内に乗り込んできて賑やかになってくる。暫くしてくると景色から建物の数が少なくなって田畑が目に付くようになり、終点の甘木に到着した。
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甘木16:04→西鉄久留米16:42
大きめの駅舎、広いロータリーを横目に道を歩いていく。地図上では近くにあるようなのだが、どのあたりだろうと思いつつ交差点を曲がると西鉄線の甘木駅が現れた。甘木鉄道とは対照的に、小さくて改札口だけしかないこの駅舎に入っていき、2両の電車に乗り込む。20人ほどが乗ったこの電車に夕日が差し込んできて心地いい。
川沿いの田園地帯を走ること数十分、徐々に乗客も増えてきて、緩やかなカーブの宮の陣駅に入っていくと、これで西鉄電車は全線完乗となった。川を渡って高架区間に入り、目の前にロータリーと背の高い駅ビルが目に入ってくると、西鉄久留米駅に到着する。
西鉄久留米→久留米 徒歩
ここからJRの久留米駅まで移動、バスで行こうかとも思ったのだが、40分ほど時間があるから歩いていくことにしようか。何台も停まっている西鉄バスを横目に駅前の通りを歩いていく。大通りの歩道がアーケードのようになっていたのだが、ここを進んでいくと徐々にビルが低くなっていき、閑静な雰囲気が漂ってくる。太陽も沈んで薄暗くなってきたころ、再開発が著しい久留米駅が見えてくる。久留米駅に来るのは14年ぶり、前に来た時の面影を少し感じつつ、階段を上って改札に入っていく。
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久留米17:24→鳥栖17:32
入ってきたのは821系の3両。土曜の夕方、これは私の疲労感か、世の中全てそうなのか、車内は少しどんよりした雰囲気だが、列車は快走していって鳥栖駅に着いた。
鳥栖17:44→佐賀18:10
薄暗い鳥栖駅のホームを移動して、長崎本線の列車に乗り込む。椅子に座り、夕飯をどこで食べようかと調べているのだが、定刻になっても発車する気配がない。まあ多少の遅れは致し方ないと思いつつ、西唐津駅前のレストランに狙いを定めた。
佐賀18:24→西唐津19:47
夜風が吹き抜ける高架の佐賀駅のホームを歩いて、黄色が目を引くキハ125に乗り込む。ここからは佐賀県の未乗区間、唐津線を乗りつぶしていく。佐賀駅を出た列車は久保田駅まで力強く走っていき、そこから先はゆったりと走っていく。外は真っ暗、眺めているうちに眠気がしてきて目を閉じた。どの駅だったか、車窓に綺麗なイルミネーションを見た気がするが、気がつけば唐津駅に着いていて、そこから一駅、終点の西唐津に着いた。
西唐津
改札を抜けて右手、狙っていたレストランに近づくと、カラオケの歌声が聞こえてくる。不思議に思って近づいてみると残念ながら貸し切り営業の様子。さてどうしようかと地図アプリを開いて周囲を調べる。さすがに目の前のお高い寿司屋に入る気はせず、徒歩8分の場所に食堂を見つけて歩いていくことにする。
真っ暗な道を歩くこと数分、目当ての食堂に着く。夜は居酒屋営業をしているようで、とりあえず一杯頼みつつ生姜焼きとご飯セットを頂くことにする。隣では忘年会中と思しき集団の長崎弁が豪快に響いている。時間があまりなかったのが残念だったが、生姜焼きとハイボール、それがとにかく美味しかった。
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西唐津20:31→佐賀21:58
若干の小雨に戸惑いながら西唐津駅に戻ると、忘年会帰りの数名がホームで楽し気に語り合っている。暫くすると奥のほうの留置線からディーゼルカーが入ってきて、それに乗り込む。スマホを眺めつつ、微睡みつつ夜の佐賀県を南下して、終点の佐賀駅に着く。
駅舎を少しだけ回り、コンビニに寄ってホテルへ向かう。ここまでしっかり旅程を組んで朝からこの時間まで旅行していたのは久々な気がするが、不思議とさほど疲労感はない。
佐賀
どうも周りの部屋が朝から賑やかで、早めに起こされてしまったが、天気のいい日曜日の朝を迎えた。早々にチェックアウトして駅に向かい、自販機で適当に飲み物を買ってバスターミナルに向かう。夜行バスで広島からやってきた友人氏と合流して、カフェで朝ご飯を済ませると、QR乗車券を用意して駅構内に入っていく。
佐賀8:01→武雄温泉8:25 リレーかもめ5号
ホームに黒く光り輝いた特急列車が入ってきた。自由席はそれなりに埋まっているようだが、指定席はほどほどの混雑で、少し暗めの車内が眠気を誘う。ここから武雄温泉までは20分ほど、友人氏と駄弁っていると武雄温泉に到着する。
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武雄温泉8:28→長崎8:59 かもめ5号
ホームに降りると、正面に真っ白な新幹線が停まっている。車体に大書された“かもめ”の3文字、長崎は父の故郷で、佐賀や長崎には幼少期から何度も来ているのだが、この地に新幹線が走っていることをようやく実感した。
かもめ5号は嬉野温泉、新大村と加減速を繰り返していく。諫早を過ぎ、トンネルを抜けると長崎市街地が目に入ってくる。見慣れた市街地を眺めつつ列車は徐々に減速していき、ホームに滑り込む。長崎県は2012年に一度全線完乗していたのだが、長崎新幹線開業で未乗区間ができていたところ改めての全線完乗、そして佐賀県も全線完乗となった。
長崎
長崎に来るのは約1年ぶり、駅前の雰囲気はあまり変わっていなかったが、スタジアムに向かって歩いていくと目の前は見知らぬ街に変わっていく。新幹線の高架をくぐると、真新しい長崎スタジアムシティが見えてきた。商業施設、アリーナ、フードコートそしてスタジアム。2月に広島のピースウイングスタジアムに初めて足を踏み入れた時に似て、この輝かしい施設を前に足取りが軽くなる。
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一通り施設をまわり、スタジアムの中に入っていく。ピッチとの距離は近く、傾斜もあって見やすい。スタジアムグルメも美味しくて、つい注文しすぎてしまう。
父にとっては故郷の新しいサッカースタジアム。今日は私の1本後の新幹線で父親も観戦に来ていて、真新しいピッチを背景に記念に写真を撮った。
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クラシエカップ準決勝 サンフレッチェ広島レジーナVS三菱重工浦和レッズレディース
至近のリーグ戦での対戦では完敗に等しかったレジーナ、この試合は粘り強く戦っていく。前半23分、左サイドの松本と中嶋の連携から左足を振りぬいてレジーナが先制する。さらに36分、上野が相手GKにプレッシャーをかけてボールを奪い取ると、そのままゴールに流し込んだ。
2-0で折り返した後半、流れは一変する。セットプレーのセカンドボールを浦和が拾うと、塩越のシュートのこぼれ球を高橋が押し込んで1点を返される。さらに後半34分にも流れの中から高橋が押し込んで同点。試合は延長戦に入っていった。
押し込まれる一方だった後半、延長戦に入ると徐々に広島がペースを取り戻してくる。このままPK戦かと思われた119分、渡邊のコーナーキックを髙橋が押し込んでこれが決勝点、サンフレッチェ広島レジーナが決勝進出を決めた。
試合が終わり、父と合流して長崎駅へ向かって歩いていく。浦上川と稲佐橋、幼いころから父の実家に帰るときによく通った道沿いにサッカースタジアムができているというのは不思議な感じもする。歩くこと10分、真新しい長崎駅に戻ってきた。
長崎15:42→武雄温泉16:12 かもめ42号
スマホでJ1最終節の結果を気にしつつ新幹線に乗り込む。神戸は3点リード、サンフレッチェは追加点を決められたようで相当苦しい情勢だが、中継を見つつ長崎駅で買った竹輪を頬張る。神戸は勝利、広島は敗戦で残念ながらリーグ2位に終わってしまった。吹田でリーグ戦を現地観戦していた友人に連絡を入れつつ、月末の国立に気持ちを切り替えることにしようか。
気がつけば武雄温泉が近づいてきた。往路と違って今回は自由席。うかうかしていると席がなくなってしまう。
武雄温泉16:15→博多17:14 リレーかもめ42号
運よく博多までの座席を確保して、武雄温泉駅を出発する。気がつけば寝てしまっていて、鳥栖駅で多くの人が乗り込んできて目が覚めた。ちょうど目の前にユニフォームを着た鳥栖サポーターの親子が立っている。鳥栖にとってはとても苦しい1年間になったはずで、あの親子の心境を考えると言葉が出ない。
リレーかもめは博多目指して快走していく。たしか中学生のころだったか、祖母の家から帰るときにお小遣いを貯めて初めて特急のグリーン車に乗ったのがこれと同じ787系のかもめだった。徐々に風景が市街地に変わっていって博多駅が近づいてきたとき、夢の空間が終わってしまう一抹の寂しさを感じたことを覚えているのだが、その時の感情を思い出しつつの福岡市街地入りだった。
博多17:53→博多南18:01
九州新幹線には何度か乗っていて、それこそ今年のゆかりんのツアーの途中にも乗ったが、博多南線には未だかつて乗ったことが無かった。いい加減乗りつぶしてしまえと乗車券と特定特急券を買って改札に入る。
暗闇の中、博多南行きの700系が博多駅を出発する。意外にも座席の半分弱は埋まっているのではないかと思うほど乗客の数は多い。スピードは中途半端にしか上がらなくて、レーシングのウイニングランを見ているような感覚に近い。暫くすると九州新幹線の高架と分岐していって地平に降りていき、博多南駅に着いた。ホームが非常に長いが、ローカル線の終着駅かと思うほどの簡素な作りで、改札口と小さな駅舎があるのみだった。
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博多南18:10→博多18:18
改札の外まで出てみるが、目の前に大きな道が走っている程度で、この場所が新幹線の車両の発着する駅前のようにはとても見えない。そのまま券売機で博多までの切符を買って、ホームに戻って車内に戻る。この時間の博多行きの乗客はほとんどいないようで、各社数名程度だった。博多南を出発してわずか8分、往復30分弱の小旅行が終わる。
博多20:28→黒崎21:37
新幹線改札の目の前の居酒屋で友人と談笑し、クラシエカップ決勝の観戦計画を立てていると、気がつけば2時間弱が経過していた。今日は博多に泊まるという友人氏と分かれ、私は黒崎まで向かう。明日は夕方のフライトで東京に戻る予定なのだが、博多南線を乗りつぶしたことによって、福岡県内の乗り残しが皿倉登山鉄道と平成筑豊鉄道糸田線だけになったということもあって、折角だから朝からこの2つを乗りつぶしてしまおうと宿泊地を皿倉山に近い黒崎にしたのだった。日曜の夜、少しどんよりとした雰囲気の電車に揺られて黒崎に到着する。
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黒崎
今回の旅行は天気に恵まれた。快晴の朝、適当に喫茶店でも入れば良かったのだが、ホテルの部屋でカーテンを開いて趣もなくコンビニのおにぎりを頬張る。せっかくだから初日に食べたクロワッサン屋に行けばよかったと思いつつも改札を入ってホームに向かう。
書きながら調べていて気がついたのだが、件のMIGNONというクロワッサン屋は東京にもあるらしい。見かけたらまた買うことにしよう。
黒崎8:59→八幡9:03
ホームで待っていると、入ってきたのは415系と呼ばれる国鉄型の電車。まだ走っていたのかと少し驚いたが、これが乗り納めだろうと名残惜しい気持ちになりつつ乗り込む。わずか1駅、八幡駅で降りる。大きくてスタイリッシュな駅舎が目を引く。大きな商業施設かと思ってよく見てみると、どうも改札階の上はすべて駐車場らしい。
八幡→山麓(皿倉登山鉄道)
ここからは皿倉登山鉄道の山麓駅まで歩いていく。これはなかなか悩ましい話で、ケーブルカーも鉄道事業法に基づく路線であることから、当然ながら乗り潰しの対象となるのだが、ケーブルカーはどの鉄道路線にも接続しない孤立路線であることが多い。どうしても普通の乗り潰しに組み込むことが難しくて、私も東京・神奈川・大分はケーブルカーだけ乗り残しているのだが、今回は強引に組み込むことにした。
大通りを歩いていき、住宅の解体現場のわきを通り、道が次第に細くなっていく。ついに車1台通れるかどうかという道まで来て、目の前に階段が現れる。3分ほど階段を上ると山麓駅が現れた。
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山麓10:00→山上10:06/10:20→山麓10:26
平日朝にもかかわらず多くの人が並ぶ改札口に並んで、黄色いケーブルカー”はるか号”に乗り込む。暖房設備が無いようで車内はとても寒い。定刻になるとはるか号は動き出し、急斜面を登っていく。木々をかき分けて約6分、山上駅に着いた。
本来は山の上まで行くべきなのだろうが、ここは時間の都合もあってそのまま下っていく。眼下に広がる八幡から若松にかけての工業地帯、日鉄の工場群、そして運河。それは壮観だった。
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山麓→八幡11:00→折尾11:09/11:16→直方11:36
ここからは今回の旅行最後の目的地、平成筑豊鉄道糸田線に向かって移動していく。もと来た道を歩いて八幡駅に行き、折尾駅へ向かって移動していく。さて、昼ご飯をどこで食べるか。折尾か直方で時間を取ることができるが、ここは一昨日も昼に訪れた直方にして、駅前の食堂で食べることにしようか。
折尾駅で乗り換えるのは恐らく14年ぶり、私の記憶にある折尾駅は地平ホームで離れ小島の7-8番ホームがあったのだが、いまは高架駅になって離れ小島のホームは無くなってしまった。その変化に少し戸惑いつつも直方行きのホームに向かうと、入ってきたのは蓄電池電車のBEC819系。ここから先は電化区間のようで、ドアが開くと同時にパンタグラフが上がった。
折尾駅を出ると、真新しいこの電車は平野を快走していく。約20分で直方駅に着いた。
直方
駅前広場に出て、横断歩道を渡る。目の前の病院の裏手にあるのが今回のお目当ての“きぬ食堂”。中に入ると先客が1人いて、テーブルと椅子が並んでいる。店の奥の厨房のほうにはテレビが置いてあって放送が流れている。今ではあまり見かけない昼の定食屋である。
ここで選んだのは昼定食。薄味の野菜炒めと品数の多い小鉢、温かみのある味噌汁がとても美味しい。店の雰囲気と定食の味、全てが心地よくて、2024年に食べたものの中でも有数の一食になった。
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名残惜しさを感じつつも、列車の時刻が近づいてきて、早々と完食して食堂を発つ。一昨日もここに来ればよかった。
直方12:16→田川後藤寺12:59
小さなホームを通って田川後藤寺行きの列車に乗り込む。発車時刻になり、3名の乗客を乗せたディーゼルカーは力強く走り始める。ここから金田までは一昨日乗った路線を戻っていくだけ、彦山川沿いに快走していく。金田から先は福岡県内最後の未乗区間、糸田線に入っていく。屋根の低い住宅から田畑が垣間見える平野を駆け抜けて、ついに田川後藤寺駅へ到着、これで福岡県も全線完乗、今回の旅行の目的が果たされた。
田川後藤寺13:14→新飯塚13:35
昼下がり、温かな日差しが降り注ぐ田川後藤寺駅。南北に広い構内と留置線、跨線橋と2島あるホーム、そして後藤寺線用の切り欠きホーム。絵に描いたような地方の長閑なターミナル駅には、発車時刻が近づくにつれて人が集まってくる。暫くすると案内放送が流れて、キハ40の単行が現れた。
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ボックス席を陣取り、日差しを浴びながらカーブを抜けて田畑の真ん中を突き進んでいく。故郷広島の芸備線に似たその風景に懐かしさを覚えながら、今や乗る機会の殆ど無くなった国鉄型ディーゼルカーの雰囲気を楽しんだ。
新飯塚13:43→博多14:34
福北ゆたか線に乗って博多に向かって戻っていく。心地よい日差しが降り注いで、音楽を聴きながら微睡むことにする。気がつけば車内は混雑していて、景色は市街地のなか。隣には新幹線の線路が走っている。定刻通り14:34に博多駅に到着した。
博多14:50→福岡空港14:55
今回は博多ラーメンを食べることができていない。全く食べないのも名残惜しい気がして、博多駅の在来線ホームにある立ち食いでラーメン食べておく。そのまま改札を出て空港線のりばに行くとちょうど地下鉄が来た。ここから先はもう東京に帰るだけ、現実に引き戻されるような、無事にすべての行程を終わらせることができて一息つくような気持ちで空港のエスカレーターを登っていく。
福岡空港16:15→羽田空港17:55(スカイマーク18便)→自宅
荷物を預け、保安手続きを終えてスカイマークに乗り込む。普段なんとなくの行程を決めつつも勝手に変えていくような気まぐれ旅行のことが多いのだが、今回は珍しくしっかり行程を決め切っていたうえに全て予定通りに進んでいった。過去にもここまでスムーズに行ったものは記憶にない気がする。沖縄、埼玉、愛媛、山梨に次ぎ、佐賀、長崎、福岡の全線完乗達成。未だに日本国内の鉄道は3分の1を乗り残していて、乗り潰しまでは遠いのだが、2025年はどれくらい進んでいけるだろうか。
時は2024年12月29日、私は国立競技場にいた。WEリーグクラシエカップ決勝 サンフレッチェ広島レジーナ対INAC神戸レオネッサ。昨年のWEリーグカップに続いて、レジーナにとっては2度目の決勝の舞台がやってきた。
前半、中嶋の粘りから上野が左足で決めてレジーナが先制する。後半は死闘に次ぐ死闘、神戸の猛攻をひたすら耐え凌ぐ時間が続く。後半のアディショナルタイムは6分、時計の針がなかなか進まず、苦しい時間が続いた。
後半50分、相手GKからのロングボールをタッチライン側にクリアする。神戸のスローイン、その瞬間、主審が両手を挙げた。サンフレッチェ広島レジーナ、WEリーグカップ連覇。歓喜の瞬間だった。
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