節約した時間をなんに使うの?
「モモ」という読後感がすごく不思議なお話について書きます。小泉今日子さんと同世代の方はタイトルをお聞きになったことがあるかもね。
子ども向けの本に分類されますが、大人の方が得るものが多い本となっています。
というのも、テーマが「時間」なのです。昨今は子どもも小さいうちから習い事などで時間に追われる人もいるでしょう。僕も水泳とか硬筆とか塾を掛け持ちしてました。
そんな人にこそ読んで欲しい本となっています。
単なる絵空事と思わないで、
どっぷりと感情移入して、
読んでみてください。
あらすじ
主人公のモモは浮浪児です。身寄りのないお金はないけど時間はたくさんの愉快な仲間たちと楽しく暮らしていました。そこに「時間どろぼう」達が現れて、あの手この手でモモと愉快な仲間たちを自分たちの思うままに行動させようとする…
超ざっくり説明するとこんな感じです。
時間について
この物語において主人公はモモですが、キーパーソンに「時間どろぼう」たちがいます。
時間どろぼうとはなにか?
作品内では特殊な生態をもつオバケみたいな存在と描かれていました。
上下スーツ、ハット、そしてサングラスをかけた真夏絶対暑いだろスタイルで表されます。
記号としてはこのくらいでいいでしょう。
大切なのは、こいつらの「意味」です。
時間どろぼう達は物語の途中から登場します。はじめに、ある街の床屋さんの前に現れます。
床屋さんは日本で言うとトリコロールのぐるぐる回るアレがある、地域の人に愛されているお店です。そんなお店に奴らが現れたと思ってください。
時間どろぼうは床屋のご主人に向かって、あなたは自分の時間を無駄にしていると言います。
床屋のご主人を不安にさせたところで、時間どろぼうは不安を取り除く方法を教えます。しばらくすると、街の床屋さんはQB HOUSEと化してしまいましたとさ。街の八百屋さんがデイリーヤマザキと化した、とも言えます。
時間どろぼうが出てきたのはこんなお話が最初です。一見すると彼らは黒ずくめの経営コンサルタント集団とも言えます。
彼らが対象とするのは大人たちだけではありません。身寄りのない子どもたちを集めて、自分たちが運営する学校兼児童養護施設にぶちこみます。
モモの愉快な仲間たちもこのようにして、様々なやり方で時間どろぼう達の意のままに操られていきます。
彼らは人間達の近代化を進めようとしているのか?いや、違います。そんないいもんじゃないんです。
時間どろぼうたちは、人間たちから時間的な余裕を奪い、それをエサにして生きているのです。
モモも時間どろぼうに目をつけられ、刺客が送られてきます。一介の浮浪児に過ぎないモモですが、主体的に時間を使えます。そんな人間は時間どろぼうにとって厄介だからです。
逆説的ですが、このことから「時間どろぼう」を定義してみます。
時間どろぼうとは、「あなたの心の一部」なのです。
どういうことか?
さらに言うと、「スルースキル」の成れの果て、でしょうか。与えられた情報になんの反応もせずただ時間だけが過ぎていく。
それが時間どろぼう達が人々に望む生き方です。
そして、時間どろぼうの思うがままに生きていると、あなた自身も時間どろぼうになってしまう、物語の中ではそう書かれています。
私たちはモモではないので、時たま時間どろぼうになりかけます。
そう自覚するのが、改善への第一歩です。