「背番号」辻家の人々・第29話/文:辻ヤスシ
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辻家の人々 第29話
「背番号」
事実上の引退宣告がなされ、涙を流した3年生たち。彼らは即座に気持ちを切り替え、夏休みに海で己の肉体美を誇示しモテてやろう――そう画策し筋トレを始めた。
その一方で、30人弱に絞られたチームのメイン層の練習内容は濃さを増していった。
どの練習メニューも休む暇が全くなかった。
のみならず、厳しい練習に選手の気持ちが切れないようにと監督やコーチの監視の目は一層厳しくなった。ちょっとしたミスでも怒鳴られる。これが精神的にもかなり堪えた。
なかでもキツかったのが、ランニングメニューだった。
今までの練習では、終了間際にランニングメニューが組まれており、日によって「40分間走」や「50メートル10本」などが、クールダウンで行われていた。
しかし、この頃になると、
800メートル×2本
400メートル×4本
200メートル×8本
100メートル×12本
――と、通称‘’地獄の6キロダッシュ’’と呼ばれるランニングメニューが組まれ、本気でゲロを何回もぶっ放した。
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