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すけちゃん
2022年3月16日 04:30
カレッジ・ジャーナルに掲載された日には、次のライブがすでに決まっていた。キャンパスのスチューデントセンター2階にあるBall Roomという、大学のイベントをやる広い部屋だ。入場料を3ドル取ったのに150人くらい集まった。このときは臨時収入ということで、ライブの後はメンバー全員と、すでにグルーピーのようになっていた高校生を10人くらい連れてアメリカンダイナーに打ち上げに行った。その中に
2022年3月15日 02:51
ザックは彼女との時間をいつでも優先してたから、僕はなんとなく、そのうち辞めちゃいそうだなぁ、とは感じていた。今までのドラマーも同じ。彼女がバンド練習に理解がないと長続きしない。何故か僕の関わるドラマーは 「彼女 > バンド」のパターンが多かった。速い曲になるとリズムキープが不安定になりがちだったザックのドラムをエリックは気に入らなかったのは知っていた。だから一度辞めると言った彼をエリッ
2022年3月13日 15:34
ヒッピーオヤジのレコード屋はキッズで溢れていた。外でスケボーしているハイスクールの小僧たちも合わせたら、ゆうに100人以上いる。エリックとダレルが電信柱や街の至る所に“Free Show“と書いたフライヤーを貼りまくったおかげで、暇を持て余した音楽好きな若者がたくさんやってきた。予想外の入りにヒッピーオヤジとそのワイフが万引きなどされないよう目を光らせている。店の奥にあるステージの前にはあ
2022年3月13日 01:52
エリックのブレイザーにバイトして買った黒のアイバニーズRGを積んでザックのスタジオに向かう。着いてみるとスタジオというより倉庫だ。田舎のローカルバンドが練習をするのはメンバーの家のガレージか倉庫と相場は決まっている。こういう場所は『物置き』の意味で、Shedと呼ぶことが多い。空き地のような場所に10くらいの部屋が並んでいる。ザックはドアを開けっぱなしにしてドラムを叩いていたので、どの部屋か
2022年3月12日 18:34
ホームレスとなった僕だけど、夏学期を受講していたので、大学の授業には出ていた。授業の後は図書館で宿題をして、夕方からはカフェテリアで皿洗いのバイトだ。キャンパスで彼女と会うことは何度かあった。好きだったけど、付き合いが長くなるにつれて、情で一緒にいるのか、本当に好きで一緒にいるのか、わからなくなっていた。いったん距離を置く、というのは、都合の良い言い訳かもしれない。でも、そばにいるのが当た
2022年3月12日 18:05
2年間同棲した彼女の家を飛び出したはいいが、行くところなんてないからとりあえず知り合いのレコード屋に向かった。手持ちのCDは50枚くらいある。売れば2、30ドルになるだろう。日本に帰ってバイトするまであと2週間。それまでなんとかやり過ごさないといけない。白髪のヒッピーオヤジがやっているレコード屋に入ると、エリックがカウンターにあるショーケースの中をのぞいていた。こいつは前のバンドでベースを