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2022年2月13日~16日 バレンタインの思い出
【2月13日】
中学1年のバレンタイン・デーに、手作りのチョコレートをくれた女の子がいた。その日は休日で、わざわざ私の家まで持ってきてくれた。
今になって振り返るといい思い出だが、当時は「余計なことをしないでほしい」と思った。家の外で受け取ったのだが、お礼を言ったかどうかも覚えていない。
「誰かに見つかったら恥ずかしい」という気持ちが何より強く、早く受け取って隠れなければと焦っていた。
家族とどこかに出かける間際のことだった。もらったチョコレートは開けもせず、自室のバッグに入れた。
そのチョコレートをいつ食べたかも覚えていない。自室は弟と共同で、親の出入りもある空間だったので、見つからずに食べるタイミングがなかなかない。
味は少し苦めだった。味わう余裕はなかった。慌てて食べたからだ。
食べた後のゴミの処理にも困った。家のゴミ箱に入れるわけにはいかない。おしゃれな外装、きれいなリボン、円筒状のカップは、自分のバッグに戻した。
私はお返しどころか、お礼さえもしなかった。とにかくこうした異性とのやりとりを、周囲に知られたくなかった。だから学校でお礼を言うのは難しい。かといって、彼女の家に電話するのは更にハードルが高い。
今思えば、手紙を書けば良かった。年賀状をもらっていたから、住所はわかっていた。しかしそれもしなかった。
これ以降、彼女とは何もない。彼女はどんな気持ちだったのだろうか。当時は相手の気持ちに思いを馳せることさえなかった。
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