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2024/11/2-11/11 古代ローマの遺跡とプーリア州を巡る旅⑤

11月3日日曜日(二日目) カラヴァッジョを追いかけて


私たちのローマでの滞在の目的の一つに、画家カラヴァッジョ(本名:ミケランジェロ・メリージ)の作品を鑑賞し、足跡を辿ることがあった。

カラヴァッジョはミラノ近郊で生まれ、若くして両親を亡くし、辿り着いたローマで絵描きとしての頭角を現した。

バロック絵画の先駆者としては当然のこと、彼が送った破天荒な人生もよく知られている。

画家として名を馳せたあとも、夜な夜な酒に酔ってはローマの街へくりだし、決闘を繰り返していたという。

カラヴァッジョが最も警察沙汰を起こしたのはナヴォナ広場の東側を走るスクローファ通りである。
今も数多くのカラヴァッジョの作品が残されているその界隈を中心にめぐってみたいと思っていた。

午睡

まず向かったのは、「ロレートの聖母」があるというbasilica Sant'Agostino。

扉が閉じている。

なんの表示もない。
いくら待っても扉は開かなかった。

仕方がないので次のスポットへ。

おそらく最も有名な作品であろう「聖マタイの召命」があるchiesa sant luigi dei francesi。

しかし、ちょうど昼休憩中。

時間を潰すためにナヴォナ広場へ。

行商の背の高い黒人たちは皆ケーブルのついたスマホの充電池のようなものをいくつも手にして、こちらへ売りつけようとしてくる。
それは何かの呪物のようにも見える。

ベルニーニ作の彫刻の美しい噴水はすべて工事中。

高く聳えるオベリスクの先端にはオリーブを咥えた鳩が降り立つ。

たとえ、そこが工事中であろうとも。

報われない時間を過ごし、カフェで一休み。

相棒はその量の少なさに不満を唱えながらエスプレッソで一服している。

私はエスプレッソルンゴ(通常の倍の水量で抽出したエスプレッソ)を初めて堪能する。
エスプレッソの濃厚さもありつつ、アメリカーノのように喉も潤すことができるもので満足。
値段も通常のエスプレッソと変わらなかった。

逃亡劇

chiesa sant luigi dei francesiへ再び向かう。

扉が開かれている。
休憩は終えたようだ。

中に入り薄暗さに目を慣れていくと、祭壇の両側にしっかりと組まれた足場が。

嫌な予感がする。

カラヴァッジョの代表作であり、バロック芸術の開幕の旗手である『聖マタイの召命』は、工事のために完全に覆い隠されてしまっていた。

その前にはレプリカの小さなパネルがあるのみ。

私たちはカラヴァッジョに逃げられたのだ。

16世紀の終わりに刃傷沙汰を起こし、その男がローマからナポリへと逃げたように。

ここまで運の巡りが悪いと、今回の旅で果たしてカラヴァッジョと対面することはできるのだろうかという不安が湧きあがってくる。

続く

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