【取材インタビュー】ギフテッド傾向のある子どもに特化したスクール「SQooL」(スキュール)始動!
本日、2024年7月29日、ある若者の挑戦「SQooL」(ギフテッド傾向のあるお子様に特化したスクール)が始まります。
それを記念しての、インタビュー記事です。
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「生きていることを祝福したい〜言霊の力」
夏の初め、大学時代の親友から連絡がきた。彼女は息子さんの不登校に悩んでいたが、前向きになったという報告だった。彼女は「前向きな言葉を一人の時に何度も声に出して言ってみた」と言う。「言霊のおかげかな」――彼女はそう表現した。
言霊には「精一杯捻り出した言葉」「経験に裏付けされた言葉」「魂の込められた言葉」――など様々な意味があるが、まさにその言霊の力で2024年3月、経済産業省主催のコンテスト「ゼロイチ」(※1)で賞をもらった若き女性起業家がいる。
渡邊眞雪さん(2003年生まれ、現在21歳、以下敬称略)、今回の取材対象者である。
※1(経済産業省主催のさまざまな社会課題の解決に挑戦する「社会起業家」を目指す若者のためのスタートアッププログラム)
【凡人✖️ギフテッド🟰凡ギフ】
渡邊の事業テーマは「ギフテッドの孤独」である。
ギフテッドはIQが130以上ある子どもを指す言葉として知られている。
一方、130まではいかないが、ギフテッドに似た傾向を持つ子どもたちも存在する。
彼、彼女らを「突出した才能はないけれど、画一的な学校というシステムに疑問を抱いたり、強い使命感から「世界を変えたい」と願ったり、ギフテッドと共通する特徴を持っている子ども」と渡邊は説明する。
彼女はそうした子たちを、凡人とギフテッドをかけあわせ「凡ギフ(ぼんぎふ)」と定義したのだ。
いわゆるギフテッドは人口全体の2〜3%であるのに対し、渡邊の提唱する「凡ギフ」の目安となるIQ110前後の人は16%存在する。16%全員が凡ギフとは限らないが、あなた達の身の回りにも多くいるはずだ。
実は、この凡ギフ、生きづらさや困り感を抱えているケースが多いと渡邊は言う。
なぜなら彼女自身がそうだからである。学校で、納得のいかないことを教師に繰り返し尋ね、授業を止めたことが何度もある。
周囲に理解されない孤独と思春期が重なり、渡邊は苦しんだ。弟や従兄弟など、家系にもこの凡ギフは多く、自分だけでなく家族の苦しみも見て来た。
渡邊は閉鎖的な学校を抜け出そうと国内の全寮制インターナショナルスクールに進学した。そこで得た「自らの場所から発信」する行動力で「スタートアップウィークエンド」(週末で体験できる起業体験プログラム)を主催した。自分の夢を周りに語ること、まさに言霊の力で周囲を巻き込む最初の一歩を、高校生の時に踏み出していたというわけだ。それを知っていた学内の友人が2023年、「ゼロイチ」にトライすることを勧めたのである。
ゼロイチにおける渡邊のプレゼンテーションは自信に満ち溢れていた。
ここでもまた、渡邊の言霊がチャンスを誘き寄せる。会場の皆にまずは自分の夢への協力を仰ぎ、その為に自分がしてきたこと、できることをデータを交えてスライド化し、リズム良く、巧みに会場の皆を自分の船に乗せてみせた。
そして見事に「オーディエンス賞」を獲得した。
【70人のギフテッドにinterviewした行動力】
渡邊の信念には裏付けがあった。彼女はゼロイチに参戦するにあたり、SNSを通してインタビュー調査を行なっている。「ギフテッド」をキーワードにヒットした人の中、70人からその生きづらさの内容を具体的にヒアリングしたのだ。期間は3ヶ月かかったという。
この過程で渡邊は新たな課題を見出した。それは「本人だけではなく、その保護者の苦しみを理解すること」だ。
その理由について渡邊は「ギフテッド及び凡ギフは学校に馴染めず、人的トラウマを持つ子も多い。それに苦悩している親を見て、子どもは二次障害を発症してしまう」と分析する。二次障害とはこの場合、うつ病、自殺のことである。
渡邊は開校理念の一つに「親も子も適した挑戦を」というテーマを掲げた。
まさにインタビューに裏付けされた言葉である。
渡邊自身にとっても人生を賭けた挑戦であり、この70人インタビューが渡邊の覚悟を新たにした。地道な活動の中で、渡邊の言霊に感化され、彼女を支援し、理解するブレーンが集まってきた。放課後デイサービスで10年以上、ギフテッドを見てきた人、前述のスタートアップウィークエンドで知り合った大ベテランもいれば、金銭面でのアドバイザーもいる。臨床心理士を目指す学生は初めて「仲間」を感じ、子ども達の「仲間」になる覚悟を決めた。渡邊の目指す学校はいつの間にか「親と子」だけではなく、関わるすべての人が大きな挑戦を共有するようになっていったのだ。
【半径5mから日本を変える】
「私から半径5m以内の人達!日本を変えて行きませんか」――。
これは渡邊がゼロイチのプレゼンの最後を締め括った魂の言葉だ。身近な人を巻き込むことは、それなりの覚悟がいる。若さがなければできないことだが、渡邊がずっとやって来たことでもある。彼女はこの若さからほとばしる言霊を最大の強みに変えて、凡ギフたちに伴走する。
「私の中にはまだ子どもの頃の気持ちが残っている。大人と子ども、両方の気持ちがわかる」
頼もしいベテランはブレーンにいる。だが生徒のバディとして伴走する者には、子どもに近い感覚が必要だ。教師や周囲の大人に不信感を抱いている凡ギフも多いだろう。
そこで大人でも子どもでもない、共に「頭と心をサポート」してくれる渡邊のような人がいたらどうだろう。結果はついてくるはずだ。
渡邊の開校する学校は「オンライン」である。生徒が全国どこにいてもサポートできる。海外からも可能だ。外に出られなくなった凡ギフ達にも対応できる。移動時間がない分、多くの凡ギフと関わることもできるだろう。
対面とリアルのバランスは、今後の課題となるかもしれない。でも彼女は走りながら考え、仲間と軌道修正しながら進んでいくだろう。
【いつかは「孤育て」のない村を作りたい】
最後に渡邊に将来の夢を聞いてみた。
「将来的には村を作りたい。一人で悩みを抱え込む「孤育て」のない村、大人も子どもも自然体で輝くために、その人なりの挑戦をサポートしていく村を」
足元、公的な学校の代わりに子どもたちを受け入れる「オルタナティブスクール」が各地にでき始めている。その中には主に、「子供の成長を促すこと」を提唱する学校も多いが、渡邊たちは「挑戦」を掲げる。
それは渡邊が「成長は挑戦し続けた先にある」ことを、身をもって経験しているからだ。渡邊には若さと行動力と、言霊の力で周囲を巻き込むリーダーシップがある。
そしてギフテッドであるか以前に、「自分が何者なのか分からない」子どもたちに「あなたが生きていることを祝福したい」という渡邊なりの強い受容がある。
この思いが、村づくりの大きな原動力になるだろう。
「SQooL」 https://lit.link/mayukikiki
(ライター:スニフ)
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