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ミニマリストを題材にした小説 羽田圭介「滅私」 感想

ネタバレ含みます。
ブラックジョークも大丈夫な断捨離経験者は楽しんで読めると思います。

ちなみに私はマキシマリストでもミニマリストでもないです。
メンタル疾患で休職中に突然捨てることに目覚めましたが
現在はそこまで捨てることにこだわっていないです。


色々なタイプのミニマリストあるある(ブラックジョーク)が面白い


様々なタイプのミニマリストへの皮肉に溢れていて面白かった。
読んだ際に見たことある!ってなった。
主人公は本も出版している某有名ミニマリストYoutuberの方がモデルになっていると思われる。ミニマリズムにハマる主婦が断捨離に凝りすぎたために刑務所のようになった部屋で子供と夫は安らげないのもネットニュースで読んだ記事を彷彿とさせた。また、商社で大金を稼いで消費生活に飽きたミニマリスト、モラトリアムの真っ只中で捨てることに目覚めて就職活動から目をそらす学生などもネットですぐに見つけられそうだと思った。

ミニマリスト、断捨離にハマった人の心理への解像度の高さに驚く

以下、刺さった文章と自身の経験を振り返る。
「捨てることは、高度な職能を体得し、収入を増やし広い家に住むというような、大変な才能、努力を必要としないからだ。せいぜい粗大ゴミ処分料くらいの低コストで、狭い範囲の世界をがらりと変えられる。貧乏人でも劇的な効果を得られるから、不景気の世で捨ては流行しやすい。」
⇛うつ状態で休職中に捨てに目覚めた理由の1つかと思った。
 今、見えている世界を変えて心機一転したかったのかも。

「捨て思考になると自分にとって大事なことの意思決定能力は高まるが、それ以外の曖昧なものや混沌、難しいものが苦手になり、どちらかにふりきったものしか受け付けなくなる。」
⇛捨てることにハマっていたときは捨てる、残すの2択にとらわれていてとりあえず置いておくのもイライラしていたように思う。

「少しでも厄介なことがあると、さっさと解決し頭の中をクリアーにしたいという衝動を僕は抑えきれない。厄介事への耐性が昔よりなくなっているわけだ。」
⇛捨てることにハマっていたときはTo-doリストになにか残っているととてもソワソワしていた。

なんでこんなに分かるのかと驚いた。羽田さん自身が一度断捨離にハマったのか、相当の断捨離アンチなのかと思ったぐらい笑
(羽田さんが小説家としてすごいからだと思います)

まとめ


私はマキシマリストでもミニマリストでもない。
少し所有物は少なめではあるが、生活に必須ではないものも所有している。
マキシマリストもミニマリストもマメでないとなれないと思う。
私のようなズボラな人は少なめの荷物で床の可視率を広げて掃除を楽にしつつ、余暇を楽しむための道具を持ち、飽きたらメルカリでこまめに売るぐらいの生活が心身にいいのだと思う。
ただし、自分の中で断捨離の波は収まったがズボラな自分が戻ってきているので良いか悪いかはなんともいえない笑(2日間ぐらいアマゾンから届いたコンタクトの液が入ったダンボールが左の視界にある。)

私はこの本を読んで捨てるかどうか迷っていたハンモックを残すことを決めた。ズボラ一人暮らしのときには洗濯物かけとして活躍していたが今度こそは人間を癒やすという本来の役割で活躍してほしい。

作中でミニマリズムにハマりタイニーハウスに住み始めた夫婦が子供が生まれたことを機にミニマリストをやめて大きなログハウスを建てて、農業を始めていた。この小説に出てくる登場人物は基本的に幸せそうに見えないが、この夫婦は終始幸せそうに描かれていた。
1つの考えやこだわりに固執しないで、その時々に自分の興味があることや幸せになれそうな選択肢を柔軟に選んでいくことが大切であるのかなと思った。

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