ふと見上げた 東の夜空に ひときわ明るい光を放つジュピター ぼんやり眺めていると そのすぐ側を チカチカと点滅を繰り返しながら 夜間飛行のジェット機が… 夜空の 端から端までを 一直線・・・ まるでミシンの針の先端 のように 縫いゆく… その直線縫いは 時間差で あらゆる方向から 光の糸で幾重にも交差して それぞれの 散らばる夢を モチーフにしてつなぎながら 一晩中を 旅しているかのようだ 君のみた夢も いつかの夜に きっと交差したのに違いない そう わたしの夢と
ふだんは 近すぎて 見えなかったことが 離れてみると 気がつく そんなちょうどいい距離がある たまに その距離に身を置いてみると 愛おしいものも 大切なことにも 気がつく それは故郷の街並みと そのざわめき めいたニオイだったり… お気に入りの 海が見える場所だったり… そして 君、のことだったりする そんな時に吹く風は 新たな発見をして 心がスキップをするような さわやかな風だったりする 仰ぎ見る今宵の月はレモン色出逢いの頃の君の笑顔の ため息をすべて集め
本のページをめくる手を 止めたまま… さっきから ふっと 誘われるような感覚を覚えて 外の景色を眺めている 風が強くて 木の葉の裏側の白い部分が 見え隠れして チラチラッ と覗く その様子が気になって… 何かが起こりそうな 不思議な予感めいたモノに 引かれている自分がいる そうするうちに その風は 心のなかにまで… あまりに 急に吹くものだから きちんと整理されていたはずの 想いが目を覚まして 驚く… それまで曖昧だったり もやもやとして 覆い被さっていたものが
いつもより 少し強い風が吹くとき いつもとは違った景色が そこにひろがる 木々がさわさわと 騒ぎだして やがてその姿をみせる 裏葉色… 葉の表の色とは違う 白っぽい葉の裏の色 その裏葉色に出会うと 何故だろう… 秘かにときめく・・ それは サーファーが 沖の白波に色めき立つ それと、似ている 気がする… 真っ青な空の高さや今朝の秋 気まぐれな風が薔薇の香運ぶ朝 生きてることにも ふっと気がつく
加速度をつけて 一気に冬をめがけて 動き出した季節 温かい君のまなざしと 大きな手に導かれながら 胸は今、 騒がしくて仕方ない ブラームス聴き入る時の沈黙の今宵の月はレモンイエロー チェロの音の響くカノンや後の月 星くずを掃いて集めて金木犀
それは遠くだったり… すれ違いざまに 肩が触れそうなほどの 距離だったり… だけど確かに感じてる すぐにでも 手を伸ばせば 届きそうな すぐ側 恋風の戯れなのか ふっと 振り返る 繋いだ手おおきくふって秋麗 秋霖やものみなすべて優しさのなか
キミは言う… 一体どうして こんな事になったんだろう って まるで異次元の世界で出逢い 気持ちのままに言葉を交わした 心と心との出逢いは あまりに単純に その感性を解き放ち 無限であるかのように 自由を泳いで 互いの心の隅に 眠っていたモノまで揺り起こした 僕らは僕らにしかわからない 言の葉のリズムで 今日もキミを感じながら 異次元をおよぐ… 君じゃなきゃいけなかったんだどうしても神の啓示のように感じて 必然の最たるものか木の実降る
星々が輝き 月は微細な金色の光のパウダーで 今夜も魔法を投げかけている この空間を いったいどれほどの愛が 飛び交っているのだろう… そう 愛は囁き続けていないと 時間に食べられて消えてしまうから… 恋人たちは 今夜も甘い囁きを 互いの耳もとへと送り合う 月の光に 不思議な魔法をかけられながら 時おり襲い来る 不安の波にのみ込まれて 迷子になったりしないように 愛しい君のハートをめがけて 優しく甘やかに囁く それぞれの愛の物語が 今夜も星座をめぐり 繰り返されるそ
裸足で雨のなかを歩いていた いつかみた夢の中は シャンパンの雨… 目を細めてよく見ると 窓硝子だと思っていたのは グラス シャンパンの・・ その外側からグラス越しに 人懐っこいまなざしが 時おり 遠く近くにゆれて・・ 今も 雨の日の夕暮れ時になると シャンパンの微細な泡のような ちいさなざわめきが 微かな音を立てて 胸の奥から湧き上がって 離れない… 切なさの隙間をぬって風が吹くそんなときには君に逢いたい まなざしはたったひとつの心からたったひとつの心
…選んでくれてありがとう… さりげない 日常の会話のなかに そっと差し込んで そんなふうに 君は 愛を置いていくから すぐには 気がつかなくて わたしからも言わせてね 選んでくれて …ありがとう… 投げてみるちからのかぎり空高く君に届けと愛の言の葉 舞い上がる言の葉の束散らばって君だけに降れ雨粒の如く 君からの言葉はビタミンエッセンスふんわり混ぜて微笑みになる
そう わかっているの 愛は温かな安定を望まない 白く透けたレースのような 夜明けの空にうっすらと浮かぶ 有明の月のようだから… 魅惑の輝きで漆黒の闇を ミッドナイトブルーの空にかえて 煌々と輝く月のように 孤高の姿で そのかたちさえも美しく 変化させていたいのかも知れない その月明かりの 魔法にかかった僕らは 宵のドアが開くと 月の周りをくっついたり離れたり 感じたままの感覚で… 今夜も究極の鬼ごっこをしている 掴んだとほんの一瞬思わせて水月の如くすり抜ける君
夜ごと夜ごとに 月は満ちて また欠けて…をくりかえす すべてを見透かすような あやしい光を放ちながら… 瑠璃紺の世界を 支配するかのように 波もまた寄せてはかえして 満潮になり そして引き潮になって …をくりかえす ねぇ他にはなにもいらないの 君の腕の中に わたしがいれば それだけで いいの… 愛してるつづきは君の耳もとで恋風の軽さでそっとささやく 今夜こそ二人漕ぎ出す月の舟ギリシャ神話を語る君とね 星の花ひとつ摘んでグラスへと落として乾杯愛しき君と
いい奴だと 思わせてくれるひとが ひとり増えると 人生は また一歩 最高に近づいたと感じる 君の言葉を反芻しながら・・ 君からの優しい風は胸もとにふうっと吹き込みそのまま残る 秋夕焼胸につめこみ逢いにいく
大好き…という気持ちは どうしてこうも 不安と背中合わせなんだろう しかも本気であればあるほど… 君の視線のその先が 気になって仕方がない 他の誰かなんて見るなよ 途端に不機嫌になる 僕以外にそんなに優しく微笑んで 話しかけたりすんなよ その微笑みも その声も その視線さえも 僕だけのものにしてたいんだよ そう… 君に言えたら どれだけいいだろう 独り占めしたい気持ちが先回り君との距離の微妙な関係 お互いに妬いてもみたり妬かれたりもしているよね君と僕とは
まだ そのまま ボクは目を閉じていた 甘い香りのそのなかを 漂っていたかったから だって、 ここに… っと 手を伸ばした、伸ばしたけど そこには ボクの身体から続く シーツの海が ひろがっているだけ… だった もう その甘いものの 正体のぬけがらが微かな形跡を 横たえているだけ…なのか そのかわりに さっきからチカチカと 目蓋のうえで遊ぶ光たちが 否応なしに目をこじ開けてくる あぁ、 君とのお別れの時がきたよ 少し振り切るかのように つぶやく ・・・お
広い空のした きっと誰かが 君を見ている …きみが言うから素敵だね… 秋の日のセンチメンタル手ですくうそんなやさしさこぼれてふわっと 何気ないそんなときこそこぼれてく 飾り気のない言霊の欠片