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S子のニヒルな笑顔

「嫌接高度社会性生活障害」。

五時だな。「今日の仕事はここまで」
ノートを休止にしてカバンにしまった。「帰ったらご飯を作ろうかな」挽肉がある。キーマカレーかな。「何か作ったらSも食べる?」
「うー、うん。食べるんだけど、さっき声に出した漢字の連続っぽいのはなに?」体を伸ばして曇り空を眺めながら言った。
「んー。屁理屈かな。今の僕の状況を無理に言葉にしたらこうなるかな、って」僕も曇り空を見る。「昨夜Sと15年ぶりの再会を果たして、結局あまり深いことは話せなかったし、もっといろいろ知ってもらいたいかなー」
「昨日は中学の続きって感じだったしね」
「そうそう」
「でも衝撃的なことは聞けたけどね」
「どの話が衝撃的なだったんだよぉ?」
「先輩がNM子のことを好きだったってところ以外にないだろ、うんこ先輩」
「へ?そんなこと言った?」
「この耳で確実に。右耳か左かは忘れたけど。うんこ先輩」
「で、そのうんこ先輩はどこから出てきた?」
「うんこ野郎だからだよ。あたし、NMの直接の先輩だったんすけど? キューピットやったよう? そして邪魔もしてただろうがな」S子はニヒルな笑みを浮かべた。窓際の、薄い逆光がよく似合う笑顔。いつもトロンボーンを吹く僕の斜め前で床に腰を下ろしサックスを吹いてた、ニヒルなS子。

とりあえず、ここまで。

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