探りだす光景と拙い言葉を映して。
求めた静寂がモノクロでもなく鮮烈な色彩を持った日常でもなかった。
雨音がやんでいる。途端に冷蔵庫やパソコンのファンの音で空間が騒がしくなった。窓の外は静寂だろうか。耳を済ませていると猫の鳴き声がどこかから聞こえてきた。誰かを呼ぶような優しいものではなく、訴えかけるような厳しさ。
横になって目を瞑ると誰かの姿が見える。陽が沈む頃、河川敷をいっしょに歩いていた。「スニーカーなんて持ってない」と口にしながら河原に向かう後ろ姿。顔をはっきりと思い出せず、降りてくる闇に笑顔が同化し