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漫画道の「ベスト・キッド」教える、教わるの極意。
★★★★★(満足度:五つ星)
「藤田和日郎が明かす新人漫画家養成術」と題された本「読者ハ読ムナ(笑)」を読みました。結論から言うと、漫画家志望の方に限らず、志を持って仕事に向き合ってる人、そうなりたい人は読んで絶対に損はない名著です。
このnoteは基本、ネタバレなしをルールにした映画レビューをやっておりますが、この本があまりに面白かったので、1984年の映画「ベスト・キッド」を引き合いに無理矢理映画とつなげてみました。w
一見関係ないことがマスターするための特訓だった。
「ベスト・キッド」は、弱っちい少年が、空手の達人のおじいちゃんに弟子入りするも、ワックス掛けや、ペンキ塗りなどの雑用をさせられ一向に空手の特訓をしてくれないと思いきや、実は雑用が空手の動きの極意だったと言うお話です。
藤田和日郎さんのアシスタントになると創作に直接関係ないと思われる、いくつかのルールが課せられます。そのルールは絵が描ける以上に重要。つまり、絵が上手くてもこの「掟」が守れないならクビです。
最も基礎的なルールとして「無口禁止」。どんなに忙しく作業をしている時でも話しかけられたら応えることが義務付けられ、リアクションだけでなく、自ら会話のアクションを起こすことも求められます。
特訓とは目的を達成するための分解した作業。
無口を禁止する目的は「コミュニケーション能力を身につけること」と、この本では定義されています。プロの漫画家になるために必ず通る難関は連載を取ること、そのために雑誌の編集者と密なやり取りを重ねることが必須です。
コミュニケーション能力をつけろと言われても、それをどうすればいいのか具体的に分かる人は少ないです。目的を達成するためのプロセスを具体化したものが無口禁止をはじめとする「掟」となって、アシスタント業務をしながら能力を自然と身につけられるようになる優れた設計となっています。
師匠の背中を見て盗め的なやり方を否定はしませんが、そうも言ってられない環境や時代において、人を育てること、成長できる環境を目指した時に、この本は参考になることが山ほど詰まっています。教えたい人、教わる人、どちらの立場の人が読んでも為になる本です。
映画「ベスト・キッド」はNetfliixで鑑賞できます(2017年9月現在)