組織風土を醸す共通言語をどう育んでいくのか
2回目の投稿になるのだけど、何故noteを書く事にしたのかもう少し丁寧に触れておこうと思う。他人を理解するにはバックグラウンドは大事だ。自分の師の一人は「対象の地理と歴史を押さえよ」と言っていた。つまりどこでどんな境遇を経てきたかの情報は大切だ、と言うことになる。
新人は1000円。の恩義
遡ると、90年代の半ばに新卒で社会人になり、しつけも振る舞い方も直球で叱られてきた世代だった。夕方には単身赴任の50代課長に連れられてJRの駅の近くの小体な呑屋に行き、冷奴とビールで上司や先輩の話を聞いたり質問したりしていた。会計になると新人はいつも1000円。部下ができたらご馳走してやれば良い、と言われて元気にご馳走様でした!と挨拶していた。それに遠い寮に帰って自炊するのも面倒だったので、タイミングさえ合えば職場飲みに参加していた。そこでお酒の限界量も覚えたし、先輩たちに聞いた話でサラリーマンとしての基礎を固めたように思う。
スタイルかルールか価値観か
ここ数年で「非・飲みニケーション」が当然となり、「ハラスメント」に当たらないか点検してから言葉を発するようになり、そしてちょっと真剣に話そうものなら思いがけず「圧が強い」と言われる事すらある。
実際今の若手のスタイルというか、丸くて柔らかなコミュニケーションはさすがだ。彼らにとってはそれが慣れ親しんできた心地いいトーンなんだろう。圧のコントロールは若手の方がスマートで年季が入っている。ある程度彼らに合わせたコミュニケーションでなければ、組織風土の根幹となる共通言語もキャッチしてもらえないかもしれない。
ただ、かつて自分が習った方法と違う方法を取るのは結構難しい事だと思う。例えば部活入って1年目のメニューと全く違うやり方で成果だせと、自分たちが2年になった時言われたら戸惑う。多分。
スタイルのようにやんわりとしたものは声の大きな者に吹き飛ばされる。だからルール化されるコミュニケーションもある。例えばもはや常識となった「相手が嫌だと思ったらハラスメントです」のルール。結構ハードルの高いコミュニケーションルールだと思う。相手が嫌だと思うか、OKと思うか、が問われるのではなく、「危きに近寄らず」が正解となる。そうであれば不安な人は思った事を口に出さないだろうし、本来問題ない事柄でももう一歩踏み込んだ会話に繋がらないことも出てくるだろう。
仕事は起きている時間の多くを占めるものだから、やはりもう少し血の通ったコミュニケーションが必要だ、と考えると、大切にしたい(すべき)価値感を尊重してコミュニケーションしようと模索する。ダイバーシティが当たり前だし子育ては夫婦でやるモノだし仕事の後の職場の人との飲み会は「時間を払ってお金も払わされて地獄」。じゃあどうするのか、ということになる。
配慮上手はコミュニケーション上手か
実際のところ自分は「配慮する方向」にはポイントは押さえて比較的うまく対応してるのではないかと思う。以前部下が「長男が病院に行くことになったと保育園から連絡あり、嫁が仕事切り上げて行ってくれた」とホッとした顔で言うので「じゃあ下の娘のお迎えに行くのは自分では?」と言ったらアッと叫んで飛び出してった、、なんて事があった。他人の家庭とは言えそのくらいには想像力もある。そういう判断をする事で伝えられる価値観もあるだろう。しかし個別事例は普遍性に弱い。それに配慮ばかりしていて、肝心の共通言語について語れていないと気づいた。
バトンを落とさないこと
自分が若い頃、課外授業で受けてきたことを、今風にでも置き換えて後輩にバトン渡さずにいて良いのだろうか、ここで語る努力を放棄したら過去の先輩たちへの恩返しはできないのではないか、そう思って過ごしてきた。自分は未だに元上司や先輩とたまに飲んで仕事のアドバイスもらったりしてるし(コロナ前まで)。少し酔って悩みが軽くなった頭を振りながら、じゃあ自分は若い人に何をしてあげられるだろう?と思いながら帰ることが多かった。
在宅ワークで飲みニケーションどころかリアルに会えない中でいよいよ突きつけられたこの3か月。まさか書くとは思っていなかったnoteを始めた理由。リアルで語る事は後回しにすると決め、後輩たちへ組織風土の鍵を握る共通言語をブログのように文字で発信していくことにした。書くならば同じ切り口で外向けにも発してみようと思った。例えばコインの表と裏のように書き分けてみたい。多角的な視野で自分の考えを整理する思考実験でもある。
noteでは仕事の細かい事に触れない代わりに、より自分の内面に沿った文脈で書いていきたい。そして、職場の後輩たちには実際の仕事に即して(自分のゴチャゴチャした気持ちはさておき)伝えたい事を勇気を出して発信していこうと思う。
組織風土のDNA
進む道を照らすのが上司の役割。ビジョンを描いてチームビルディングするのが良い上司。コミュニケーションを通じてミッションや価値観の共通言語を仲間と日常的に育む事で組織風土にはっきりとした輪郭をもたらすだろう。また、組織風土のDNAとなる共通言語を豊かにしていく事で、先輩たちから受け継いだ「守るべきこと」を手放さずに後輩たちは変革に挑戦できる。そのバトンをどうにかやって渡す事が先輩としての役目なのだと思う。
これからの働き方にについて考えて、良いと思うことは組織の中で実践していきたいと思っています。より多くの人が幸せを分かち合える社会を目指して。