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昂元庵日記ランダム 16

2013年01月08日

役割と自己認知

ワンネスの話の続きになるかもしれません・・・
一つの箱の中には、様々のものが入っています。
このブラックボックスが健全に機能するには、
それぞれのモノが互いにつながり、
調和を持って活動していく必要があると思います。

様々なものには、それぞれも役割があります。
血液に例えると、白血球や赤血球とか・・・
白血球は、異物を排除し免疫により身を守る活動があります。
赤血球は、酸素や栄養素を体内に巡らせ身を元気にさせます。

それぞれの役割が血液に同居しながらも干渉せず働いています。
お互いは、その役割のことを認知していないと思いますが、
その分、他と対立したりもしていません。
もし、そうでなければ、
白は赤に、
「人を元気にさせるのは良いけど、悪いものが入ってきても知らぬふりか?」
と言うかもしれません。逆に
赤は白に、
「戦うことしか知らないの?あなたの倒している相手は、本当に悪なの?」
と問うかもしれません。
しかし、実際は、そんな対立などありません。

これを人に置き換えると、
企業の中の営業部と製造部の問答に似ているかもしれませんね。
営業は、お客さんを怒らせるといけないから、
できるだけお客さんの言うとおりに仕事をしようとします。
工場は、直接お客さんの声を聞かないから、
お客さんの顔色より生産性を重視します。
時に対立する二つの意見。
でも、お互いが存在しないと困るし、
目的は、利益を上げるということで共通しています。
そして、話をすることで理解が深まったり、
個人の質も上がることがありますね。


人は、他の役割や所業を批判することがあります。
そして、人は、それぞれに役割と為すべきことがあって、
それを全うすることが人生だと解っていても、
異なる意見や、批判に対しては、感情が乱されていまうものです。

だったら、人も他と関わらず、自分の世界に閉じこもり自分の役割だけをこなしていけば良いのでしょうか?
僕は、そうは思いません。
やはり、人は社会の中で生活し、人と接することから何かを見つけたり、
何かが生まれたりするのだと思います。
そこが人たる所以で、人として生きる意義だと思います。

僕は、人と接し話しをし、いろいろと悩んだり考えたりするのは、
自分を知るためだと思います。
異なる意見を聞き、自分の感情や印象を確認し、
自分というものを知るきっかけになるからです。
人は、自分の鏡だと言います。
人の役割は、いつか自分の役割の時代となるかもしれません。
また、その逆もあります。


むかし、「スピリット」という映画を見たことがあります。
それは、中国の実存した武術家を描いた物語でした。
ジェット・リー演ずる主人公と中村獅童演じる日本人武術家が、
異種武術大会で対戦する前に、お茶を飲みながら対話を行います。
主人公は、そもそも武道に優劣など無いといいます。
では、なぜ試合を行うのか?と獅童が問います。
それに、
人と試合することによって、今の自分と向き合うことができるからだ。
そんな答えを主人公はします。
一人で練習をしていても、自分の技量は計り知れません。
相手と対するという現実の厳しさの中で、自分を知る手立てとして試合をするというのです。
だから、試合は相手を負かすことが目的ではなく、自分と向き合うことが目的なわけです。

そこには、痛みや怪我や、逆に喜びも存在すると思います。
人と接するというのも、そういった意味もあると思います。
いろいろな役割の人の意見を聞きつつ、
自分の役割や、自分の生き方、為すべきことなど・・・
自分というものを知る糧になると思います。


『汝、己を知れ、そうすれば宇宙を知るだろう』
この自分を知るという、古代から受け継がれているテーマを、
社会の中で実践するのは、とても意義あることだと思います。
その中で、同じ役割を持った仲間との出会いや、
逆の立場の人との出会いによる、
喜びや、痛みは、人生の財産になると思います。
そして、時にDNAのように自分の表現が、
同じ役割を持つ細胞組織の指針のように伝わることもあると思います。

それらは、全てワンネスという箱の中の出来事なのだと思います。

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