ショートショート#6「振り子時計」
思い出話をしよう。あの頃、僕は小学生だった。
夏休みがやってきて、久しぶりに父の実家へと帰省した時のことだ。
あの家へ行くのは何年ぶりだったろう。
…なんて言ってみるが、物心つく前に行ったきりだ。祖父母の顔も覚えちゃいない。わかっているのは、祖父と僕の目元はそっくりということだけ。
長らく疎遠だったらしいが、祖父母と両親の間に何かあったのだろう。今なら大人たちの苦悩も想像に難くない。
いつにも増して口数の少ない父。それに気を遣ってか、母もやけに静かだ。なんとなく居心地の