「数値」と「認知」
どうもこんばんは、栗山喬@age_cox です。新年度スタートしまして、そろそろ日常のルーティンが定まってきた感じでしょうか。自分の身のまわりの仕事ご一緒する方々も、だいぶ新年度のバタバタが落ち着いてきた印象です。
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写真を中心としたクリエイティブ制作をやってきた中で、クライアントワークとして写真撮影の依頼を受ける際に、その目的は大きく2つに分かれるなーと最近自分のなかで整理がつきました。
それが「数値」と「認知」です。クライアントは大きくわけて、その2つのどちらかが主な目的で依頼してくる場合が多いなと。ビジネスにおいて、結局は動かす金額を大きくしていくことが目的なので、どちらも最後は数値に帰着するんですが、ここでは一応、「数値」と「認知」という言葉で整理させてください。
「数値」が目的
これは分かりやすいです。制作されたクリエイティブを数値に繋げるのが目的ということ。たとえばSNS等に写真やデザインを掲出して、その結果がPV数に繋がり、売り上げに繋がるという場合。Web広告のビジュアルとかですかね。
行政がクライアントのプロジェクトだと、発信の結果Web上でPV数が獲得できたり、情報発信しているSNSのフォロワー数が増えるところまでで目的達成な場合が多々あるので、その場合は、単にWeb上でのアクセスの「数値」が取れたら終わりですね。
民間クライアントだと、例えば広告として出したビジュアルがクリックを誘導して、リンク先のECサイトで商品がいくつ売れたか、みたいな売上としての「数値」が目的となってきます。
自分の場合、この「数値」を目的としての撮影はなるべく受けないようにしてます。「数値」が目的だと、こちら側のクリエイターとしての影響力(SNSの数値)なんかも依頼目的に含まれてくる場合もあるので、それは本懐じゃないんですよね。
「認知」が目的
それに対して「認知」が目的でクリエイティブ制作を依頼されるプロジェクトがあります。自分としては、この「認知」を目的とした仕事を積極的に受けていきたいなと思ってます。
「認知」とは何のか。たとえば、株価 / 採用 / CSRあたりがキーワードでしょうか。
株価でいうと、昨今の飲食店での消費者による威力業務妨害的な被害は、その企業の株価を下げた要因としてハッキリしています。しかし、逆に株価を上げる要因ってハッキリ分からない場合もありますよね。
増資したとか画期的なサービスを発表したとかは分かりやすいですが、企業の公式SNSアカウントのクールさとか、実店舗の世界観みたいなものもボディブローのように地道に株価を押し上げてると思うんですよ。
大きい企業とかだと、マーケットに対して自社ブランドの「認知」を向上させるために年間で広報費を組んで、いろんなチャンネルで発信し続けていきます。そのなかで、フォトグラファーが撮る写真の世界観も、それを構成する要素の一つとして依頼があったりします。
自分が今まで受けてきた仕事も、自分が撮って使ってもらった写真によって、お酒が1000本売れるとか、車が100台売れるみたいなことを期待されてはいなかったなと思うんですよ。たぶん、それは株価を地味に押し上げるような、クールな発信の一つとしての貢献だったんだろうなと。
似たような感じで、他社と差別化して採用を進めるためとか、社会に対して企業としてのCSR活動のためとか、そのあたりも「認知」が目的なクリエイティブ制作になっていくんじゃないでしょうか。
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SNSでいうと、TwitterとかYoutubeとかで影響力を持つクリエイターは「数値」を期待されることが多々あるんじゃないでしょうか。最初は自分のクリエイティブを世の中に伝えるための手段だったSNSの影響力が、いつのまにか制作依頼の理由のひとつになると、それは手段が目的になってしまうかもしれません。
InstagramとかBehanceとか、クリエイティブの世界観やクリエイターとしての実績が伝わりやすいSNSは、「認知」目的のクライアントワークに繋がりやすい気もします。プロジェクトの前提条件として、先にクリエイターが今まで作り上げてきた世界観を踏まえてもらえるので、クライアントワークとはいえストレスは少ないかなと。
自分としては、普段から自分が撮ってる写真の世界観を踏まえて発注いただける「認知」目的のクライアントワークが、取り組んでて幸せです。だいたいの場合で、自分らしさを発揮することがプロジェクトの目的と一致してますからね。
という感じで、自分が感じるクリエイティブ制作の2つの目的についての話でした。
途中、フォトグラファーとクリエイターと言葉をごちゃごちゃっと使っちゃいましたが、あくまで自分がフォトグラファーとして見聞きしてきた経験を踏まえての話題なので、写真のクライアントワークの話として読んでいただけたら幸いです。
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