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【読書感想】傲慢と善良【ネタバレなし】 

総括

「傲慢と善良」読了。
ちょっとエグすぎたわ。婚活というものを意識をして現在動いてるのもあり、目眩がするほどに刺さる刺さる。
前半部ですらモヤッとしたものを整形したうえで、正論パンチを食らわせられる。
読み終わる頃には口からドス黒い何かを吐きながら死んでるのでは?と思ったレベル。
でも、この作者は非常に巧みで、物語としてしっかりまとめきってくれるてるのがすごい。最終的にちゃんとエンタメ。
視点の鋭さと、そのウィークポイント見極める的確さがエグすぎて・・・辻村深月さん覚えました。他の作品も読んでみます・・・。

あらすじ等

今作は、辻村深月が書いた小説。
主人公の婚約者が突如消えて、その居場所を探すために彼女の過去を探していく。そんな作品

感想

自分は、映画鑑賞が趣味なんですけど、映画の予告はみてたものの気にはなりつつ公開スルーしていて読書を今年は頑張るぞ!っと思ったときに目についたのが今作でした。
実写映画化されてるぐらいには人気等もあるだろうしという軽い気持ちで手に取ったんですがエッぐい
”恋愛”小説でもありますが”婚活”小説としての切れ味が尖すぎる作品です。
恥ずかしい話、自分が現在いい歳こいてふわっと活動しなきゃなみたいな婚活に向き合い方をしていたので前半部のテンションが続いていたらショック死してたかも。ガチで視界は歪んで目眩までは行った。
でも逆に、リアルタイムだからこそ最大限に楽しめた作品でもありました。
若かったり、すでにご結婚されてたらフィクションかもしれませんが、オンタイム世代はもう刺さりに刺さるから不用意に読んだほうがいいよ。
婚活し始めるって人に配ったほうがいいよ。おてて繋いで崩れ落ちよう?
個人的に大学の就活タイミングor終わりタイミングで読んだ「何者」レベル。
なぜこんなに的確に致命傷をえぐれるのかいちいち突き刺さってグフぅっていいながら片膝つきたくなる。
前半部はどこか冷たく突き放したような人間の醜悪さや都合の良さを”傲慢”と”善良”というキーワードを使いながら語ってくれます。

しかし、後半はだいぶ雰囲気が変わります。
答え合わせパートには近いものの、こちらのほうが非常にフィクション寄りに振り切っているおかげでこれがエンタメ作品なんだと思い出させてくれるしあがり。
お説教じゃなくて物語読んでたんだったって我に返るよね。
ただ、そのフィクションも寂しさと痛々しさと冷たさを感じる仕上がりに成りつつ、前半とは対象的に人間の暖かさを信じるような作りになってるの。
あと、自身が想像しているより他者はずっと複雑で、そして豊かであるってことをしっかりと示してくれてるのも個人的にはすごく良かったと思う。

前半が刺さり過ぎの、後半バランス取ってもらって最終的に楽しい作品でした。
ウィークポイントの的確さとそれを鋭利に引き裂く語彙力は脱帽です。
読書を始めたばかりで知識がなくお名前は観たことがありましたが”辻村深月"さん覚えました。
他の作品も読ませていただきたく思います。
とりあえず婚活寄りのマッチングアプリの利用規約に今作読ませるフロー入れたほうがいいと思います!!!!!

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