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【読書感想】謎の香りはパン屋から【ネタバレなし】
総括
「謎の香りはパン屋から」読了!
パン屋の日常にミステリを混ぜるっていうのは斬新だったし、地域性と青春の匂いもして良かった。
けれど、トリック部分がやや強引。主人公の性質の説明が薄いことでなぜ探偵役ができるような能力があるのかっていう説得力が薄かった。
本格を求めたわけじゃないけど、想定より軽かった。
中高生とかが初めて読むミステリとかにおすすめかも。
あらすじ等
今作は土屋うさぎがかいた小説。
パン屋でアルバイトする主人公。
章ごとにパンをモチーフにしながら、パン屋でアルバイトしている主人公が日常で起こる謎に気づいて真相を解き明かしてしまう。
そんなかんじ。
感想
2025年第23回「このミステリーがすごい」の大賞受賞作ということで平積みされてるのを本屋で見かけて表紙もかわいいし購入。
まず、キャラクター全員が個性的でありながら愛嬌があって純粋に描かれる世界が好きになる。
そして、パン屋という特性をいかしたトリックもあれば、推理をするために必要なキーとしてパンが機能してるのもすごい良かった。
短編集っぽいので区切りもよくサクサクよめるのも世界観と合ってた。
ただ、今作の注意点は主人公は真相を指摘する探偵役になりはするのだが、その推理する対象が大半が事件や事故ではなく、誰かの隠し事レベルを暴き立てる形になります。
なので、明確な犯人みたいなところがなく、動機あてがメイン。
そして、主人公の読者に共有されていない知見による人読みが強いので、トリック部分が非常に強引な印象も受ける。
結果的に、その強引さも作品自体の愛嬌につながってるので、良いところでもありつつミステリとしてはもう一声な気分に個人的にはなった。
ただ、このぐらいの謎をミステリとして扱いつつ、この日常物をまぜあわせるのは非常に食い合わせが良いし、パンは美味しそうだし勉強になるし続編とか続いてほしい気持ちがめっちゃある。
今作は短編集でサクッとしてたので、続編書いてもらってちょっと長めなトリックを重視するか、人情重視するでも良いんですが、主人公がもっと大きく動く作品が読みたいなと思いました。