茂木燈

はじめまして。

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最近の記事

依存症

椎名林檎が好き。 理由はない。 私の存在を認めてくれるような歌詞、歌、存在、全てが好き。 林檎さんの歌に出てくるような恋をしたことはないし、好きな人もいない、愛してくれる人もいない、理想も意思も夢もない。 でも、林檎さんはそんな私さえも包んでくれるような歌を歌う。 林檎さんは誰に向けて誰のために歌っているのか、私にはわからないけど、言葉で繕うだけじゃない。 私の存在を否定しないし、何かに縋る私を肯定もしない。 ただ、私を生かすような存在であり続けてくれる。 彼女が歌わな

    • 自尊心

      私は5位です。 1位は一番年上の従兄弟 2位は1位の妹 3位は2位の姉 4位は私の姉 5位は私 私は5位なのです。 生まれた時から5番目なのです。 何をやっても5番目なのです。 勉強も運動もどれだけ頑張っても4番にすらなれないのです。 私は好かれていないから。 でも、今日からは、私が1番になりました。 2位はいません。 評価するのは私です。 私は私を評価しています。 格差を感じた時からずっと。 自分の道を進みなさいと母が教えてくれた時からずっと。

      • 友達

        キスした。 私にもしたい人がいたのに。 次の日、目があったけど逸された。 なんだよ、気まずくなるならやめときゃいいのに。馬鹿だなぁ… そんで、その馬鹿が求めてる言葉を言っちゃう私も大概だな。  「飲みすぎちゃって覚えてないや」 だって、こうすればいつまでだって友達でいられるんだもん。

        • 好きな人の好きな人は私じゃない

          私には好きな人がいる。 彼は私よりも少し背が高くて、やや伸びた黒い髪をかき上げながら私と目を合わせる。 少し焼けた黒い肌と目の下の黒子が色っぽく、そのにやけたような笑顔は私をさらに惹きつける。 午前2時 私たちはお酒を飲んで意識が朦朧とした中、話をしている。 部屋の中に充満する煙はバニラのような甘い匂いを漂わせて私たちの関係性を濁す。 「死にたいと思ったことはあるか」私の質問に彼は 「ある」と答えた。 何故かは聞かないが、代わりに「どうしたの?」と聞いた。 「首を吊ろうとし

          漂流

          中退した。 二年次まで在籍していた大学は、海の近くにあった。 それまで、海とは縁遠い人生だったので、大学に入って初めて海というものを身近に感じながら学生生活を送った。 学んだことは二つ。 海の匂いが苦手だと言うこと、湿気が生活の支障になるということ。 アルバイトは海沿いのコンビニ。 目つきの悪い女オーナーが営んでいる、タバコ臭いコンビニだった。田舎だったため、客は常連客ばかり。 夜中になると、街唯一の光に惑わされた酔っ払い達が集まってくる。トラブルは日常茶飯事だった。