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【ショーとショート】 『立方体部』

 ある日突然空中に現れた物体があった。人の形をデフォルメした巨大なものが三体、広大な平面が一枚、巨大な立方体がひとつである。それぞれは、人体部、平面部、立方体部と呼ばれることになった。
 人々は噂をしあった。
「これは宇宙人が侵略してきたんだ。きっとあれは兵器だ」
「いやいや。これは神が人間にもたらしたものだ」
 解釈はいろいろあれ、それぞれのものは宙に浮かんでいるだけである。正体は一切不明であった。
 やがて、それらの物体を危険視する団体が、政府が禁止するにも関わらず大量のドローンをぶつけるという過激な行動に出た。ぶつけたのは立方体部にだ。
 すると、立方体は空中で複雑に回転した。
 やがてそれが止まった。すると人体部のひとつが、平面部の上をぴょんぴょんぴょんと、三歩だけ移動した。
「すごろくだったんだな」


#爪毛の挑戦状

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