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【ショートショート】 『インドの部』

「学生俳句選手権インドの部で優勝ってなに? インドの部?」
「インドの部です」
「俳句でインド?」
「インドに旅行したとしましょう」
「する人はいるね。インドかぶれとか」
「そのかぶれなんです。僕」
「就職面接で認めちゃうんだね。まあいいよ。続けて」
「で、インドでは季節感が日本と違います」
「違うよね。俳句なんか詠めそうもない」
「ええ。ですからインド旅情で句を詠むと、季語の季節はインドになるんです」
「は?」
「だから季語の季節がインド」
「わからないんだが」
「インドっぽいものを入れれば、季語なんです。自作の句で礼をあげますと、
 愛憎の 果ては高みの ガンダーラ

 曲輪より シャーリープトラに 偲ぶ路

 凪いでなお 尺には尺と ガンジス川」
「はい、結構です」

「いやー、課長。意味不明でしたね」
「シンギュラリティー以来文化の変化が著しいからね。じゃ、次の人ー。君特技は?」
「学生俳句選手権で優勝しました。メタバースの部です!」


#爪毛の挑戦状

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