【ショートショート】 『1億円のうんこ』
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「1億円の宝」とバツ印がつけられた地図を、古本屋で見つけた。ライターである私は仲間とその田舎の山の中を訪ねることにした。
結論を言うと、ろくなものではなかった。昭和の時代に建てられた巨大な廃旅館にある、巨大な便槽であったのである。中には12トンに及ぶ便がつまっていた。
これを記事にするため、もう少し調べることにした。すると近所の人から、この廃旅館には老人が住みついていたと聞くことができた。120歳近い齢で亡くなったという。
「そういやあ、爺さん、死ぬ間際になって近所の人に言っていたらしいなあ。俺は生涯一度たりとて働いたことなんてない。生活保護費1億を受け取った男だって」
帰り際に、私は相方に言った。
「生涯で受け取った生活保護費が1億円。それが唯一生み出したものが、あれか…」