【ショートショート】 「カミングアウトコンビニ」
一ブロックも行けばたいていはあるその小さなコンビニに立ち寄り、暗いブースの一つに入る。
「カミングアウトなさい」
バイト店員の低い声が響く。
「今日家を出るときに若い女性の黒ストッキングに目を奪われてしまいました」
「罪は許されました」
規定の料金を払うと、隣のブースからヤヤマが出てきて目が合った。一緒に登校する。
「奇遇だな」
「人にぶつかって、謝らないまあバスに乗っちゃってね」
「あるある」
かつて疫病が流行し、多くの人が死んだ。祖父は、信仰のお陰で生き残れたと言う。確かにある宗教の一派がたくさん生き残り、信仰が蘇り、信者が今の時代を作った。
あと二つ、歴史で習ったことによると、
かつてコンビニは『カソリック教会』と呼ばれており、カミングアウトは『懺悔』と呼ばれていた、ということだ。