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picophon
【ショートショート】 『ジンジャークッキーイブ』
「イブだってのに、きなくせえことになっちまったな」
生きているクッキー、ジンジャーブレンドマンが何者かに殺された。凶器はなく、胸を拳で一撃されて死んだらしい。
「警部、現場にこんなものが」
手帳が落ちていた。ほとんどなにも書かれていない。アドレス帳には「ゆうきくん」「あいちゃん」とだけある。
「友達がふたりしかいねえやつか」
「いったいだれがなんのためにこんなことを。みんなのジンジャーブレンドマンにうらみを持つ人なんていないはずです」
いや。警部には心当たりがあった。
「ちょっと署までご同行願えますか」
男が呼び止められたのは赤い服を着た男であった。
「あなたに、キャラ被りを殺した容疑がかかっています」
警部が男の手をつかもうとすると
「やめるんだ! 子どもたちがショックを受けるじゃないか」
なんと男は、マントをなびかせて飛び去ってしまった。
「空飛ぶアンパン、行ってしまいましたねえ」
「みんなの夢を守るためだろうな」