【コント ボツ】「『遠回り』の作り方」
性懲りも無くコント台本をあげつづけている。
今回はその制作秘話を披露しよう。というのは、今回はネタの種が面白くできあがらなかったのでボツと判断したのである。だからいっそこれを利用してハウトゥーをお伝えしようと思った次第である。
最初の頃このコントは精神症候学からヒントを得てネタを作っていた。「遠回り」というタイトルも「迂遠」という医学用語から来ている。これについては「お笑い=逸脱・論」という私の理論があってそれがもとになっているのだが、今回はその話はしない。最近、そういう観点からネタを作り上げているわけではないからだ。
さて私の台本はト書きも詳しくないし誰のセリフであるかもわざわざ記載していない不親切設計であるが、それは私が読み聞かせるために作ったものだからだ。娘の寝物語に聞かせているものなのである。声色を変え抑揚もつけて演じるのを聞けば内容はイメージしやすかろうが、それを文字で読むとわかりづらいと思う。そこはあしからず。
さて「遠回りシリーズ」はとっくのまに最終回にしようとしていたが、娘がもっと聞かせろと言ってきた。だから要望に応えてネタを書き聞かせるのだが、時間をかけて書いても一瞬で消費されて「次」と言われる。ならばいっそ娘と共同で作ることにしたのである。
どうやるかというと、場面を設定し、互いの役割を決め(といっても娘が通称里中さん、私がボケ役の神沢さんに固定されているが)、スマホのメモ帳に音声入力を使って即興のかけあいを記録する。たとえば今回やったかけあいのは下のような感じだ。
できあがった書き起こしを元に、私が書き直す。大筋はできるだけそのまま使う。意味の通じないところや誤変換を修正するが、いっそそれをヒントにギャグにしてしまうこともある。試しに冒頭を直してみよう。
こんな感じだ。書いているうちに神沢さんが勝手にボケてくれるので、なんとなくコントになる、といった具合である。完成したらnoteにアップし、夜スマホで見ながら娘に朗読というか一人で落語のように演じるのである。
たとえば「さっそく目の前にティラノサウルスが見えているのにですか?」といったセリフは、ニュアンスがセリフだけからはわからないかもしれない。ほんの少し間を空けてから、うんと冷めた言いかたにするのだ。そうすると充分にウケが狙える。
娘といっしょに即興で演じる日は、ネタを披露しなくて済む。次の晩までに入力したものをネタにし、披露するのである。
このようにして我が家では神沢ワールドが共有されている。普段の会話の中にも「そんな神沢さんみたいなことをするんじゃない」といった言葉が出てきて、通じている。
神沢という名前の人が目の前に現れたとき、娘が吹き出したりしないかは心配である。