見出し画像

あなたがしらない茨城へようこそ!①県北エリア

※画像は神栖市の浜辺。

数か月前に千葉県に住み始めましたが、その前はずっと茨城に住んでいました。

最近仕事で茨城のことについて問われたので、いろいろと知っていることを話してたら「地元だからってそんなに知ってる…?」と言われたので、多分私は茨城について詳しい人間なんだと思います。
魅力度ランキングでは常に「いかに低いか」で争っている茨城県ですが、私自身は魅力がない県だとは思っていません。PRに使う金と人材が足りないだけで。
茨城県に来てもらうにはまず、茨城県には何があるかを知ってもらう必要があるので、茨城県内の主要市町村に関するニッチな情報について、ざっくりご紹介したいと思います。まずは県北エリア。

北茨城市

海沿いに面する茨城県最北の地。国道沿いは田んぼしかないが、海沿いと山間には案外観光スポットがあり、岡倉天心ゆかりの美術館や六角堂など建造物、紅葉の名所としては花園渓谷、港が近いのでなんか魚介系のグルメも楽しめるはずだ。
海沿いにはいくつかの温泉旅館がある。このエリアで一番でっかい温泉宿は五浦観光ホテル。太平洋を一望できる露天風呂が魅力の本館と、趣のある和風旅館風の別館が存在する。なお本館では、腹が破れるほどボリュームたっぷりの夕食が出る。ご飯食べた後にグラタンはサービス通り越してマジでエグい。

大子町

栃木と福島に隣接する茨城県最北の地。
平成の大合併を経てもなお「町」のアイデンティティを保てている観光強者の自治体。この地に赴くにはJR水郡線なるマイナー路線に乗らないといけないので、移動にダルさを感じるタイプの人はレンタカーで赴くのがおすすめだ。ただ、冬場はガチめに路面注意。

袋田の滝が観光産業の中心で、その他にりんごだの温泉だのジビエだのが楽しめる。たまにクマもでるが、そりゃ八溝山系の自治体だもの、仕方ないね。
常陸大子駅前はやや宿場町風の面影を残す景観が楽しめる。そうした特性を生かし、古民家風レストランやカフェとして生まれ変わる古い建屋も多いそうだ。

大子でカフェ巡りも一興かも。
思い思いに楽しんでほしい。

高萩市

高萩インターの近くや北茨城との市境は工業地域になっており、永谷園の工場とかがあったりする。
一方、国道沿いの景観はだいぶ悲惨で、特にあまざらしで真っ黒になり、取り壊しにされることもなく打ち捨てられた市営住宅が異様な存在感を醸し出し、そこを中心に圧倒的な限界都市感を放っている。

なお、高萩市には「君田」という、へき地教育振興法で定めるところの「へき地」指定を受けていた地域が存在する(その地域にあった小中学校は廃校となっている)。
そんな地域のすぐ近くに、デジタルデトックスができるという宿泊施設が最近できたらしい。多分電波はマジで届かないんだろう。ムンクのように叫びたくなるほど自然たっぷりなのは保証する。


常陸太田市

最近下水道工事の不始末を市役所職員全員におっかぶせたというセンセーショナルなニュースでSNSを騒がせている常陸太田市。
そういう思い切った対応に踏み切れるのは、バンジージャンプの名所が存在している所以だろうか。

それはそれとして人口流出が止まらず、小中学校の統廃合がガンガン進んでいる過疎地域。ぶどうの名産地。歌がうまい、仲のいい友達の実家がある、くらい。

常陸大宮市

茨城の人間は常陸大宮市を「大宮」と略すので、県外の人々は「埼玉県の大宮」と勘違いしてくれる。そんな都会の皮を被った常陸大宮市は正真正銘のド田舎だ。
常陸大宮市は蕎麦が名産だというが、蕎麦が名産なのは川沿いのエリアあるあるなので割愛する。わたしにとって常陸大宮市で有名な麺類は「御前山ラーメン」だ。

茨城で勤務していた頃、出入り業者が御前山ラーメンの売人をしていたのを覚えているのだが、彼はいったい何だったんだろうか。

ちなみに御前山ラーメンとは話は異なるが、常陸大宮市のホットな観光スポットはここだ。

ロードバイクに乗るローディーのために、サイクルスタンドなども設置されているので、サイクリングのコースとして検討してみるのも◎ もちろん、周辺ドライブの目的地としてもいいと思う。駐車場もめっちゃ広い。
今どきの道の駅なので、施設内はかなりきれいなはずだ。ゆっくり落ち着いて過ごせることだろう。地産師匠メニューが豊富なフードコーナーでお腹を満たすのもアリ。
ちなみに御前山ラーメンが置いてあるかどうかは不明だ。

日立市

日立製作所なくして日立市なし。日立の業績が傾いたときには日立市も傾く、そんな都市。
とはいえ県北エリアのリーディングシティでもあるので、さすがに日立にはいろんなものがある。まずは妹島和世氏が手掛けた日立駅から。

画像右側には「シーバーズカフェ」というサーフ系のカフェがある。ヒドいときには30分に1本しかない電車を待つ間にコーヒーを飲むのもありだろう。なお、雨の日に日立駅構内を歩くとめっちゃ滑るからご注意を。

日立駅前は何とも言えない静けさが漂う。賑わうのは平日の出退勤・登下校時くらいなもので、休日に賑わっているのはあんまり見たことがない。
日立一高・二高・明秀日立高のJK・DKたちの憩いの場であった(と思われる)イトーヨーカドーはあまりに客が入らなくて消滅し、子どもたちは親の運転でひたちなかファッションクルーズかイオンモール水戸内原(または小名浜)に行くしかなくなった。
あるとすれば日立製作所関連企業から帰宅するビジネスパーソンたちが、誰もが無難に立ち寄れるモンテローザ系の飲み屋くらいなものだ。

県北エリアでは大都市であるはずなのに、なにか荒廃した雰囲気がぬぐえない日立市であるが、その中でも長年続く老舗の小料理屋やスナックなども結構多い。個人的には日立市教育プラザの近くにあるこの喫茶店を推したい。

私の父母が出会った頃から存在しているそうだ。
なので、少なくとも40年以上はこの地で、防御力の低そうなガタガタのすりガラスの青い扉で客を出迎え、昔から変わらない防御力の高いプリンを提供しているということになる。

日立の宿泊施設と言えば国民宿舎・鵜の岬。だがここに宿泊するにはかなり前から予約をしなければならないらしくなかなかダルいので、個人的には下記の宿泊施設をおすすめする。残念ながら温泉ではないようなのだが、施設自体はオシャレ。

運が良ければ、この施設の目の前に広がるプライベートビーチ風の浜辺でSNS映えするイベントが開催されることもある……かもしれない。

コラム:KENPOKU ART 2016 県北芸術祭

一部一部で魅力的なスポットもある県北エリアだが、そうは言うても「町全体として魅力がある」と言えるかどうかは、だいぶ微妙だと感じる。と、思うのは誰も同じで、翳りゆく街々を憂い、観光誘致と収益UPをもくろんだ茨城県が、森美術館とタイアップして打ち揚げた花火が、2016年に行われた「県北芸術祭」だ。
五浦美術館の企画室を大きく使ったチームラボのプログラムを始めとして、上記県北エリア各所に、キレイ・奇怪・面白いプログラムが多数展示された。

私自身もお客としてドライブをしながら各地を回ったが、なかなか面白い催しだったと思ったし、県北芸術祭に便乗したイベントも各地で行われていて、俄かに活気づいていた印象があった。あか抜けない街だと思っていた県北エリアに、何か違う風が吹き込んだような、新鮮さを感じたのは事実だ。
主催者発表によると、約77万人ほどの来場者を記録したイベントだったという。県北エリアの観光客としては、異例の人数が訪れたのではないかと思うが、次回開催は2019年とされていたところ、大井川知事に代わってから「中止」という判断となった。
現在は上記に代わる、または包括した、県北振興チャレンジプランというのが始まっているようなのであるが、具体的な取り組みやイベント内容が広く知れ渡っているような気配はない。

こういうときの電通様頼みということで、こういうウェブドラマをやったりしている。正直SNSでバズっていたみたいな話は聞いたことはないが、地域活性化にはこうした地道なPRも欠かせない。どれほどの、そして、どういう効果があるものかはわからないけど…。

小・中・高の統廃合が加速し、人口流出が止まらず、決め手になるような産業もあんまりないし、そもそも働き手もいない県北エリア。
国道6号を通ると嫌でも感じる町全体の活気のなさに、かすかに寂しさが込み上げる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?