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【詩】 プルーストの夏


扉を開けると 夏のにおい

あの頃の記憶がバッとよみがえる

あれから幾とせ 季節は巡るけれど

いつもそこは

あの夏のにおいがした

わたしがわたしに戻る

独りだけの あの個室

篭った濃密な空気とともに

守られるプライバシィ

ああ そこは きっと

来年も また次の年も 同じまま

このむせ返るような

いとおしい

夏のにおい


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