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【公開通知】『屋上のアラタ』(短編)

こんにちは、深見です。
『屋上のアラタ』という短編を公開しました。

 屋上に向かう薄暗い階段を見つめていた私の前に、その男子生徒は、いつの間にか立っていた。階段を上って、屋上に続くドアに手を伸ばす。施錠されているはずのドアは、しかし、わずかに軋みながらすんなりと開いた。私は何も考えずに、衝動のままに男子生徒の背中を追いかけて、屋上へと滑り込んでいた。

 その時の、アラタの表情と言ったら!

 始めは、まるで幽霊かお化けでも見たかのような顔だった。信じられない。そんな呟きをそのまま表情に固めたような。

 それから、眉の間に怒りが滲んで、アラタの両手が私の肩を掴んだ。さっき閉まったばかりのドアをもう一度開けて、私を屋上から叩き出すんじゃないか。そんな予感すらする、鬼気迫った表情だった。

 だけどアラタは、私の両肩を掴んだまま、そのまま固まってしまった。その時の表情は……どうだっただろう。困ったような、悲しそうな顔だったような気がする。

『屋上のアラタ』より、一部抜粋


こういうの、久々に書いた気がします。
暗いか明るいかと言われると暗いです。別パターンのエンディングも考えてはいたんですが、どうにもしっくりこなかったので、この終わり方になりました。

なんともいえない、切なくてやりきれない気持ちになりたい人にお勧めです。


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