「言葉の迷宮」:吃音と向き合う、もどかしい日々
「あ…あの…、す、すみません…」
言葉が、
喉の奥でつっかえる。
まるで、
見えない壁に阻まれるように、
スムーズに言葉が出てこない。
吃音。
それは、
私にとって、
長年の悩みの種だった。
社会人になってから、
吃音による困難はさらに増した。
初めての会議での自己紹介。
緊張で心臓がバクバクと高鳴り、
手汗が止まらない。
「〇〇(名前)です…
え…っと…」
言葉に詰まり、
沈黙が流れる。
同僚たちの視線が集まるのを感じ、
ますます焦りが募る。
「…あ…あの…」
どうにか自己紹介を終えたものの、
顔は真っ赤になり、
冷や汗が止まらなかった。
その日から、
会議での発言が怖くなった。
意見を求められても、
言葉が出てこない。
プレゼンでは、
頭が真っ白になり、
用意していた内容を忘れてしまう。
同僚たちがスムーズに仕事を進める中、
私は吃音のせいで、
思うように活躍できない。
「どうして、
私は普通に話せないんだろう…」
そんな思いが、
私を苦しめ続けた。
しかし、
ある日、
私は決意した。
「もう、吃音に振り回されるのは終わりにしよう」
と。
そこから、
私の長い闘いが始まった。
吃音に関する書籍を読み漁り、
様々な対策方法を試した。
呼吸法、
発声練習、
認知行動療法…
あらゆる方法を試したが、
効果はなかなか現れなかった。
それでも、
私は諦めなかった。
「いつか、必ず吃音を克服してみせる」
そう信じて、
努力を続けた。
そして、
同じ悩みを抱えている人たちによる
「スピーチ練習会」に定期的に参加し、
トレーニングを重ねることで、
少しずつではあるが、
言葉がスムーズに
出るようになってきた。
もちろん、
今でも完全に吃音が
治ったわけではない。
緊張したり、
焦ったりすると、
言葉に詰まってしまうことがある。
しかし、
以前のように話すことを
恐れることはなくなった。
吃音は、
私にとって大きな試練だった。
しかし、
吃音と向き合う中で、
私は多くのことを学んだ。
言葉の大切さ、
コミュニケーションの難しさ、
そして、
自分自身の弱さと強さ。
吃音は、
私の人生の一部だ。
これからも、
吃音と付き合いながら、
自分らしく生きていきたいと思う。
そして、いつか、
吃音で悩んでいる人に、
自分の経験を伝え、
勇気を与えたい。
吃音で苦しんでいる人は、
決して一人ではない。
共に、
この困難を乗り越えよう。
そして、いつか、
自由に言葉が話せる日が来ることを信じて、
前を向いて進んでいこう。