ふぉれすとどわあふ⑨ 三羽さんの企画
よりテーマ①ふぉれすとどわあふに現れた魔女
こちらの翌日のお話👆
ふぉれすとどわあふへの帰還 【879字】
リリはひとり密かに怯えていた。
そこに、ふぉれすとどわあふに集まった群衆の中に魔女がいるような気がしたからだった。
でも誰がそうなのかはわからなかった。
パーティがお開きになって、日が登ってくると、ちょうどそれと重なるように、布をはためかせた飛行物体がふぉれすとどわあふ目がけて飛んできた。
店の前に着陸したそれから、ケイを抱えたクマさんが降りてきた。
ヨークは両側をオーウェンとシドニーに抱えられていた。
「ミユさん、ただいま」
シドニーがそう言うと、奥から「おかえりなさーい」と声がした。
ヨークをマントの上に横たえ、オーウェンはケイに声をかけた。
「どう思う?君のママのこと」
「私には信じられない。ママは本当のママだった。だって赤ちゃんを3匹も産んだのよ」
「そうだな。ということは、誰かが化けているのか。でも何故そんなことをする必要がある?」
奥からミユが後ろ手にエプロンを結びながら現れた。
「どうしたの?ケイ、いらっしゃい」
ケイがミユの胸に収まった。
「魔女の姿がケイのママそっくりだったんです」
クマさんが言った。
「そうね、そっくりよね」
「ミユさん、知ってらしたんですか?」
オーウェンが驚いた声を上げた。
「ケイは元はここで生まれた子なの。途中から街に行っちゃったけど」
「ああ、そうか。ならケイのこともママのこともご存知だった」
「そう。よく知ってたの。親しかったのよ。でも街に行ってからのことはわからないの」
「でも違う。ママは魔女なんかじゃない」
ケイは力いっぱい声を出した。
「そうね、私も違うと思う。私も写真を見て驚いたの」
「でもあれだけ似ているとなると、何か関係があると思っていいですよね」
ドアの外で話を聞いていたリリがドアを押して入ってきた。
「魔女は化けるのが得意なの。昨日もここにいた・・・と思う」
「そうね、魔女の気配は感じた」ミユが言った。
「やっぱりそうだった。すごく胸騒ぎがしたのよ」
ケイはリリのそばに行った。
「ケイ、元気で良かった」
「うん。祈っててくれてありがとう」
オーウェンがいきなり外に飛び出した。そして辺りをグルリと見渡した。
「逃げられたか。あやつは斥候か」
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