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第一回サイゼ文学賞(非公式) 福島さんの企画


こちらです♪


サイゼでデートって許せます?


サイゼでまったり   【696字】

「イカ墨パスタとエスカルゴ」
そう言うと、向かいの女性は眉ひとつ動かさず、タッチパネルに目を落とした。
 彼女はというと、一心不乱にメニューをめくっている。気まぐれで、何を食べるのかわからない。でも尋ねるようなことはしない。そういうのはテーブルに揃ってからだ。
「めんどくさくない人だよね」
「なんだよ、つくづく」
「そうでしょ?このメニューもう何十回って。違うな、もう100回はいってるかも」
 彼女は両手をパッと広げて、ニコリと笑う。特に面白いことなどないはずだ。
「この二つが最高のパフォーマンスなんだよ」
「知らないけど・・・よく飽きないね」
「君なら飽きる?」
「もうとっくに」
「聞き捨てならないな。そんなに簡単に飽きるなよ」
「何かにすり替えようとしてない?」
「してる」

 彼女の前ににドリアとわかめサラダが運ばれてくると、芯からうれしそうに口角を上げた。
「君も僕と変わらないんじゃない?もしかしていくつかのメニューをローテーションしてるんだろ?」
「チャレンジして不味かったらヤでしょ?」
ということは、まだ僕でも大丈夫ってことなんだろう。
「ぼくだっておんなじさ。これで何の文句もないんだから」
「ホントにそう?最近ちょっとホワイトがかってると思う。前はもっと何に対しても辛辣だったでしょ?」
「よくわかったな。このイカ墨、セピアって名前になったんだ。イカ墨をケチってる」
「だよね。腹黒いのがちょっとマトモになったみたい」
「よく言ってくれるよ。食べるものが黒いからって、腹黒にはならないさ」
「ホントかなぁ。じゃあ未だにカタツムリみたいに鈍臭いのはどうして?」
「え!それはないだろ。ショックで頭も角も出せないよ」
    了


何を書いても最後はこれ!


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