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ranhachico
金色に シロクマ文芸部 チンクエチェント500
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あなた(つまりわたし) 【500字】
金色に埋もれているのは砂漠の黄昏。
あなたの背中に「さよなら」と言いかけてやめた。声が出なかっただけかもしれない。あまりにうつくしかったから。
それはあなたのいい加減さとは何の関わりもない。自然が私にくれたもの。あなたは奇跡的にそこに立っていた、ただのズルい人。
あなたはそんな幸運でできている。
いつだってそう。どこだってそう。
何年も何年も旅をして、もう私は何を探しているのかもわからなくなった。でもあなたはちゃんと知っていて、私にレクチャーしたりする。そんなことはどうでもいいの。あなたの言葉に真実があるなんて保証、全くないのよ。
だから私は路頭に迷う。あなたがそばにいようといまいと、私に寄る辺はない。
あなたと私が決定的に違うのは、パンのみで生きられるかどうかなの。
あなたはパンのみで平気な人だから。だから魅力的に映るのよ。何かがあるような気がして。でもあなたの影にも裏にも何もないことを私は知っている。
あなたはとことん幸せな人。私にもそれがようやくわかってきた。
だから「さよなら」が言いたいの。
砂漠は青く翳って、これから地球で一番暗い眠りに就く。
あなたが淹れてくれたコーヒーは、何にもましてあったかい。
了
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小牧部長さま
よろしくお願いいたします