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名残り雨

めっきり春めいてきたこの頃、残念なこの雨の休日をどうせなら楽しもうと外に出てみることにしました。
でもビニール傘がせっかくのこんな気分に水を差します。

そもそも雨の日の憂鬱はどこから来るのでしょう。
ショパンの前奏曲「雨だれ」の名前は初めから付いていたわけではありません。でも聴けば、雨だれだなぁと思います。
僕がそういう感性を持ち合わせていれば、雨の日をもっと楽しめるのでしょう。

雨音に耳を澄ますと、遠い昔のことが思い出されます。
見上げれば、すべてのことが包み隠さず、ありのままに見えてしまいます。傘に当たった雨は一滴の水となって命を急かすかのように傘の表をするりと滑り落ち、僕に降りかかることはありません。
僕には雨音しか聞こえないのです。
あの時。彼女が別れたいと言った時、きっと彼女は泣いていた。そんな気がします。

君に一緒に来てくれなんて言えなかった。自信がなかったんだよ。僕が勝手に決めて勝手に遠くへ行ってしまったんだ。やはり僕がよくなかった。ごめんな。

彼女の涙は僕に降りかかることはありませんでした。だからわからなかったんです。しかし、そんなのは言い訳でしかないことはよくわかっています。

降りかかればよかった。そうすれば一緒に泣けたかもしれない。同じ雨に濡れて歩けたかもしれない。
二人でゆっくり雨を見たかった。

僕はゆっくり傘を畳んでみました。傘に溜まった雨が僕に降りかかりました。空からは容赦なく雨粒が落ちてきます。

だからきっと雨は憂鬱なのです。


山根さん
よろしくお願いいたします。

ふくふくさん
よろしくです~


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