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2歳児がカンボジアに引っ越した話

今年の2月にカンボジアに引っ越した。0歳児(4ヶ月)と2歳児とともに。

それから3ヶ月。上の子は現地の保育園にも慣れ、毎日楽しそうに登園している。マンションの管理人のおじさんに「ハロー!」とあいさつし、物を数えるときは「ムオイ、ピー、バイ…」とクメール語を披露してくれる。保育園のお友だちの名前も覚え、その日のできごとを教えてくれることも。

もちろん最初からこんなんだったわけではない。

到着翌日、家の外から聞こえる物売りの声(スピーカーで流れてくる)を聞いて「こわい」と抱きついてきた。上の子は耳がよくて、「日本語じゃない」というのは分かってたよう。外に出てもずっと抱っこ。自分で歩こうとしない。お店の中に入っても、”外国人”が近づくとすぐ抱っこ。1週間後から保育園に行き始めたけど、最初は泣いて逃げようとする子どもを無理やり捕まえて保育園に行かせてた。保育園でも全然楽しそうじゃない…。かけっこだって、ダンスだって、水遊びだってあんなに好きだったのに、無理やりやらされてる感じ。

この時期は親の私も辛かった。
でも子どもはもっと辛かったと思う。

引越し前、子どもは「カンボジアに行く」と文字通りには理解はしていた。でも世界には自分とはちがうことばを話す人がいて、人の見た目も文化も習慣も違う場所があることをまだ理解できないまま、ある日突然、何もかもが違う世界に放り込まれた。
とまどい、怒り、不安、悲しみ、喪失。ゆみ先生は?はるくんは?どこに行ったの?なんで私はここにいるの?保育園は?私のおうちは?

この頃、寝る前に子どもにせがまれたお話は自分とアンパンマンとカレーパンマンが近所のスーパーに買い物に行く話。アンパンマンとカレーパンマンはお父さん・お母さんに抱っこされて行くんだけど、自分は一人で歩いて行く。お話の中では外もこわくないし、一人で歩けるし、自分の思う通りに動ける。
今思えば、そうやって自分の身に起こっていることを消化して、新しい環境に適応しようとしていたのかな、と。

カンボジアに来て3ヶ月がたち、ずいぶん前に夜のお話はなくなった。
今は近所のスーパーまでなら歩いていける。
1ヶ月過ぎるころには保育園に行くのを嫌がらなくなり、2ヶ月になる頃にはすっかり馴染んでキラキラ元気いっぱい楽しめるようになった。

初めての場所に行くとまだ「抱っこ!」ってなるけど、子どもが安心して未知の世界に飛び出していけるように辛抱強く受け止めてあげたい。ずっと抱っこは重いんだけどね。

カンボジアで暮らし始める我が子のことを理解したいなーと思って読んだのがこの本。

前は「なんで自分で歩けないの!」ってイライラしてたけど、この本を読んで子どもの喪失や不安、悲しみを想像するようになり、それが当然の反応なのかもしれないと自分も落ち着いた。
これから子どもたちがどんな風に成長してくれるのか楽しみ。

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