「きのう何食べた?」が刺さりすぎ
コロナ禍になり全く会えなくなってしまっていた親友と、つい先日、一年以上ぶりに会えた。
ひとしきりお互いの近況を報告し合い、彼女リクエストの「きのう何食べた?」劇場版を鑑賞。
うすらぼんやり設定を知っているくらいで、漫画を読んだこともドラマをちゃんと観たこともない。
ということもあって、彼女が観たいなら…と軽い気持ちでお供した。
めちゃくちゃおもしろかった。
途中、溢れてくる涙を堪えるのに必死になり、二人の平凡だけど温かい日常を同じように嬉しく思い、鑑賞後はなんとも言えない幸せな気持ちでいっぱいになった。
登場人物の状況が自分と重なる、いや、重なりすぎるのだ。
ゲイカップルがゆえに子どもを持つことができない主人公二人。実家との関係性。老後の心配。
以下、ネタバレありなので注意
実家と恋人ケンジの狭間で「俺にとって一番大切な人と正月を過ごしたい」と、ある意味、実家を切り捨てることを選んだシロさん。
そんなシロさんの言葉を聞いて、今まで我慢していたものが堰を切って溢れるが如く、みるみる表情が崩れ目に涙をいっぱいためるケンジ。
孫ができると喜ぶ女性を目の前に、若いゲイの男の子は素直に祝福できない。なぜなら自分にはその喜びを得ることも、自分の両親に与えることもできないから。
「子どもがいなくたって本人たちが幸せならそれでいいじゃないか」と拗ねる彼に、ケンジは「誰かのうれしいことってのは、やっぱうれしいじゃない」と優しく言うのだ。
実の両親よりもケンジとの時間を選んだ息子に、シロさんのお母さんはこう言う。
「あなたはあなたの家族を一番大事にしてね」
だめだ共感&号泣ポイントが多すぎる。
鑑賞しながらずっと彼とのことを重ね合わせていた。
今でも迷うし悩む。
彼と付き合い続けるということは、彼にとっては子どもを諦めることとイコールだ。
付き合い始めのころ、「私は子ども産めないよ」とはっきりと言ったことがある。
彼は「だからといって今すぐ結婚っていう決断はできひんし…」と真逆のことを返してきた。
私としては「子どもがほしいならお互い深入りする前に、お付き合い解消となってもいいよ」という意味だったのだが、彼は違う捉え方をしていた。
結局「いずれにせよ今決断はできないし付き合おう」という結論に至ったのだけど。
今は「一緒に暮らしたら犬と猫を飼おう」と言い合い、品種まで決めている。
その子たちを大切に育てようという共通認識はあるけれど、彼の気持ちの変化は誰にも予測できない。
そんな葛藤のある中での「きのう何食べた?」である。
“大切な人と一緒にいられれば幸せ”
“でも二人で生きてるわけじゃないから、周りの人も大切にしなきゃね”
“ちゃんと食べることはちゃんと生きること”
そんなメッセージが優しく胸に響く。
映画に誘ってくれた親友には感謝しかない。
こんな風に彼と生きていきたいな。
これからもおいしいものを一緒に食べたいな。
彼を大切にしよう。
感謝や好きという気持ちは言葉にして伝えよう。