保護犬の家族になりたい
私は犬が大好きだ。
街中でも犬、とくにフレンチブルドッグを見るとニヤニヤしてしまう。「こっちに来てくれないかな」という淡い期待を込めつつ、飼い主に不審がられないくらいの熱量で見つめる。なんなら振り返る。「あなたのお犬様を触らせてください」というボードでも掲げて歩きたい。もしくは犬にめっちゃ好かれるフェロモンをまといたい。
実家で飼っていた愛犬もなかが昨年亡くなり、まだ受け入れられないでいる。
お盆の数日前にみた夢で、未知の生き物が登場し、私の手を舐めたあと「もーなんでわからないの!もなかだよ」と言った。号泣して目が覚めた。夢でももっと長く過ごしたかった。でもお盆で実家に帰る前に私のところにも寄ってくれたんだと思ってる。しかも命日の夜に見た夢。
私の生活には圧倒的に犬が足りない。
モフモフの欲求不満に陥っていたことと、かねてより興味があったので、お盆休みに保護犬カフェへ行った。あまりちゃんと犬に触れたことがないよっぴにも、犬と仲良くすることの楽しさや喜びを知ってほしい、とも思っていた。
うかがったのはこちら
以前、古いタオルでも寄付すると役に立つとネットで見たことがあったので、事前に確認をした。
「新品でなくても良いですか?」と訊くと、「むしろ新品でないほうが水を吸うのでありがたいです」と言ってくださり、営業時間なども丁寧に教えてくれた。
夏休みということもあってか子どもも含め、たくさんのお客さん。
私たちがドアを開けると何事か!?とたくさんの犬がこちらを見てくる。「誰!」という感じで吠えてくる気が強い子も。でも全然怒ってないんだよね。「わかったわかった」と言いながらカフェに入る。すでにニヤニヤが止まらない。
なんと飲み物880円で、時間無制限でいられるとのこと。満席のときは1時間という制限つき。
しばらくは私たちに警戒していた犬も、ちょっとずつ距離を詰めてくる。かと思えば、触ろうとするとぴゅーんと逃げる子も。会いたかったフレブルの女の子もいたけど、警戒心が強いのかケージか隅っこにいるため、まだ人馴れしていないように思え、こちらからは近寄らないようにした。
近づきたい…でもほかの犬に遠慮して近づけない…みたいな子を抱っこしてソファに座らせた。頭を撫で、実は犬が喜ぶ耳の後ろをマッサージしていると、すぐにお腹を見せてくる。結構強めにマッサージをしていたら気持ちよくなったのか寝てしまった。やけに人懐こいと思っていたら、このカフェの卒業生で今は家族に愛されており、里帰り中なのだと知った。
そのころになるとちょっと場にも慣れて、移動しながらいろんな犬を撫でた。
フレブルの女の子にも「ちょっと触っていい?ごめんね。ありがとう」と言いながら、頭と耳の後ろを撫でた。ストレスになるといけないから早めに切り上げる。
よっぴはというと、里帰り中のポメラニアンにがっつり懐かれている。体をぴったりとくっつけて寝て、よっぴの太ももが枕替わり。
他の犬も触れ合いたいということで、枕役を代わってあげた。
それにしてもポメラニアンのふわふわ感はすごいな。空気触ってるのかと思うくらいふわっふわ。
人大好き!みたいな子もいて、よっぴの膝に飛び乗ってきたプードルも。
写真右の子は里帰り中だったんだけど、不安そうに震えていた。飼い主さん迎えにきてくれるよ、大丈夫だよ、とたくさん声をかけた。
トイレに入ったら、「犬の遺言」と「捨て犬の十戒」が貼ってあり、涙腺崩壊。
両親にも教えてあげようと思ったが、捨て犬の十戒の方は親のメンタルが心配されるため送らなかった。
基本的に保護犬カフェにいる犬は、ブリーダーからの保護であったり、飼い主に見捨てられたりした子が多い。だから人間に警戒心も抱くし、病気を抱えている子も多い。一番かわいらしい子犬の時期も過ぎているため、「犬かわいい!飼いたい!」みたいな人には向かない。
保護犬カフェですら胸が痛む。
ようやく警戒心も解けて、懐いてくれたのに帰らなければいけない。ほんの数時間一緒にいただけでも、犬は寂しそうな顔をする。今思い出しても胸が痛む。
それからというもの、私は保護犬を家族に迎え入れることばかりを考えている。
最大の課題は仕事。最長で22時まで残業をする、かつ、在宅勤務も少ない職場環境にあっては、絶対に無理だ。いま検討しているのは、会社に時短勤務希望を申し出ること。それまで実績を積んで、「ろっかさんなら良いよ」と言ってもらえるようにならなければいけない。また、転職サイトも見始めた。とはいえ年齢のこともあるからなかなか難しい。
そしてよっぴの気持ち。
犬を飼ったことがないよっぴは、まだその先にある苦労を実感できていない。犬は病気にもかかるし、老犬のお世話は本当に大変だ。そんなよっぴに、飼うのが難しいとされる保護犬をつきつけるのも乱暴に思う。
だから矛盾していることも承知しているが、保護犬で子犬に巡り会えたらと思ってしまう。あるいは、ペットショップは絶対に嫌なのでブリーダーさんから子犬を迎える。そして、多頭飼いか2代目という形で保護犬を迎える。
よっぴにも「最近、保護犬のことばっかり考えてるやろ」と言われた。「なんでわかるん」と尋ねたら、「こんなにわかりやすいことあるか」だって。
最後に、「犬の遺言」と「捨て犬の十戒」を。これをずっと忘れずに生きていきたい。