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でも踊るしかないんだよ。

新しいアルバムが楽しみで今日もミツメ。
「白煙をあげる煙突が急に光を遮って 2人しか見えなくなってた」
という歌詞を初めてきいた時、そのあまりにも彩り豊かな、それでいて心までうつすような歌詞に、キラキラとして、うれしくなって、おかしくなって、それはもう大変な騒ぎだったのをおぼえている。わたしはこんな詞が書けるようになりたいな、とその時思ったんだった。今でもそれは思い続けているけれど。
今日村上春樹の本を読んでいて、ちょうど一昨日のわたしみたいな文章にぶつかる。「あんたは確かに疲れている。疲れて、脅えている。誰にでもそういう時がある。何もかもが間違っているように感じられるんだ。だから足が停まってしまう」
結局のところあまりにも疲れていて、だから大切なことの区別が全くつかなくなってしまっていたのだ。
文章はそこで終わりではなくって
「でも踊るしかないんだよ。」と続く。
「それもとびっきり上手く踊るんだ。みんなが感心するくらいに。」
わたしは村上春樹を読んだり、エヴァンゲリオンを観たり、なにか大きなものに触れると、自らの未熟さにたまらなくなる。大きくて、遠くて、深いものをいつか作りたいとずっとおもい続けている。そのためにわたしなりに獲得してきた毎日があって、それらがいつか、大きくて遠くて深いものにつながっているという、直観みたいなものを信じているのだ。それを思い出すのが大きな作品と、その向こうに見え隠れする人たちで。
毎日は容赦なく続いていく。わたしはシステマティックに、できるだけ有能な機械としてこの山を切り崩し、越えていく。
とびっきり上手く踊るんだ。みんなが感心するくらいに。

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