【CALメンバー紹介】Ito.N.Noelの文学的新境地
【作家Ito.N.Noel様の魅力】
御好評いただいておりますアンソロジー小説『サロメ座の華』の販売好調を記念いたしまして、この特集記事では本書でも特に高い人気と圧倒的評価を集めるIto.N.Noel様について御紹介させていただきます。
まず、Noel様は『サロメ座の華』のAmazon公式著者プロフィールにもあるように、カナダのバンクーバー出身のハーフ(御父様はカナダ人、御母様は日本人)で、二つの国の文化に跨って御活動されてきました。
英語と日本語の双方に堪能なため、翻訳とライターの御仕事でその才能を発揮されています。
そんな彼女は文芸叢書CAL(Classic Anthology Library)のメンバーの一人として、今後の企画を決定するための重要な円卓会議(Round Table Talks)――4/29、5/6の夜半に筆者を含む6名で開催――にも御参加して下さり、貴重な御意見を御伝えして下さいました。
会議後の座談会では円卓メンバーの前で故郷バンクーバーの美しい自然の御写真を御見せ下さったり、武士道など日本の伝統文化へのリスペクトも御伝え下さったりするなど、その気さくで明るい雰囲気からメンバー間でも人気が高い御方です。
【「花殺し」のカリスマ性】
Noel様の作品はすでにAmazonレビュー、Twitterでも数多くの読者様から高い支持を獲得しており、『サロメ座の華』の寄稿者様の中でも彼女の作品をベスト1にあげられた方が多数いらっしゃいます。
編集長の筆者自身、Noel様にしか書けないあのクールでドライな、それでいて研ぎ澄まされた美しさを感じさせる文体の虜になりました。
論より証拠、絶賛される方が多かった「花殺し」の冒頭部分をまず一度読んでみてください。
御一読すれば明らかなように、葬儀会館で働く女性の「死」についての内省から始まる非常にインパクトのある冒頭です。
冒頭のこのわずか一頁の内的独白を通して、語り手の女性の元恋人への痛切な未練、自責の念が迫ってきます。
無駄な装飾を削ぎ落とした血の通った文体であるがゆえに、ストレートに魂に訴えかけてくるものがあると思います。
「花殺し」は恋人を失った傷を癒せないでいる語り手の女性と、そんな彼女の前に現れた「死」に惹かれるもう一人の女性との関係を中心にして展開されます。
光がけして射し込まない鉛色の分厚い都会の空――これが「花殺し」の人物を取り巻く冷酷な社会的現実から思い浮かんだ風景です。
その雲の下には、木漏れ日にわずかな期待を寄せながら必死に「今」を生き延びようとしている、実存的な現代人の姿が垣間見えます。
作品の悲劇的構造、LGBTQの人々にどこまでも徹底的に寄り添う覚悟、筆の迷いをまったく感じさせない毒を含んだ文体の魔力――どれ一つ取っても「花殺し」は他の追随を許さない圧倒的な衝迫力を宿しています。
生半可なヒューマニズムや妥協を許さない文学の玄人であれば、Ito.N.Noel様の熱烈なファンになることはまず間違いないでしょう。
そんな彼女の魂のリズムを感じることのできる「花殺し」の本編は好評発売中の『サロメ座の華』でお読みいただくことができます。
これからもどうか文芸叢書CALの応援をよろしくお願い致します!
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