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同人サークル「この後ケーキを食べるため」既刊紹介②『星を抱く旅路』について

こんにちは。
過去に発行した『星を抱く旅路』という長編のあとがきっぽいものを書こうかと思います。

書いたきっかけ

前作長編小説『さみしい裏切者たちよ』の発行からおよそ半年後の文学フリマ東京で頒布しました。

前作が明るい話であるとは言えなかったので、明るくてハッピーエンドの小説を書こうと思い着手しました。
結果、苦い思いも描きつつ、読後感爽やかな青春小説になったと思います。

登場人物について

他の長編小説(裏切者、101、真志)の登場人物と比べ、今作の登場人物たちが一番かわいいです。
素直でかわいい。他の小説のキャラもかわいいっちゃかわいいんですけど、どいつもこいつも屈折しているので大手を振ってかわいがれるのは今作登場の彼らだけです。

皆、自分のことを分かってもらおうと努力しているのが健気です。
まあ、高校生だから若いってのもある。
今でも読み返すと、青々しかった高校時代を思い出します。

書き始める時から主人公は三人にしようと決めていました。
と、いうのも、私自身が三人きょうだいでして、母が言っていた言葉が印象に残っているためです。
それは、

「3人以上じゃないと社会が生まれない」

というものでした。
確かに2人では互いのことのみになってしまう。3人になれば、一気に関係性が多様になると感じます。

また、主人公3人を幼馴染として描いたのは、疑似兄弟として描きたかったという思いもあります。

長男のソウと長女のキヨ、末っ子のミヤ。本当の兄弟ではないので、当然彼らには別々の家族がいます。
彼らの本当の家族への描写は最低限にとどめていますが、彼らの人格形成には大きな影響力を持っていたはず。そんな風に思い、行動や考え方の端々から本当の家族関係も読み取れるよう配慮しながら執筆しました。

清水多喜

キヨ。ザ思春期してる女の子です。3人兄弟の末っ子で上に2人兄がいます。
兄がいる女の子ってなんとなく強かなイメージがあります。それから異性のきょうだいがいる子特有の男(女)への諦めのような冷めた目線。
それから女らしさへの抵抗感。

彼女自身は実は少女趣味だし可愛いもの大好きですが、兄の手前そういったものから遠ざかって過ごしてきました。同様に恋愛についても抵抗感が強かったと思います。

そんな彼女が恋愛を自覚する半歩手前を描きたいと思い苦心しました。

読者の方に伝わっているか微妙なんですが、彼女はじきに宗田のことが好きだと自覚します。
だからある意味、疑似三兄弟を真っ先に抜けるのは彼女なのだと思われます。

とはいえ、宗田は鈍いし、相楽さんは頑張るだろうから、最終的に誰とくっつくのかは私にも分からない……。なんだかんだ、作中でフラグが立ってたこの2人とはくっつかないかもしれないなあとも思います。

宮崎桂馬

かわいい。
って思います彼に関して私は。

彼に関しては設定を盛り過ぎた感を否めない。ただ、自由人山背の友人として頑張ってほしかったのでキャラは強くあってほしかった。

彼もまた、ザ思春期してますね。唯一若干グレちゃった。
ミヤに関してはキヨの友人ほのかさんとやや恋愛フラグが立ってましたが、ここは絶対くっつかない気もする。お互い似たもの同士だし、良き友人になってほしいなと思います。

甘ったれたところは大人になるにつれ、徐々に改善されていくのだと思います。しかし、愛嬌はそのままで大きくなってくれ。

宗田藤

本作の最もお騒がせさん。賢いのに不器用。
宗田はもう、相楽に足向けて寝られないだろうな本当。
お兄ちゃんに憧れた一人っ子がお兄ちゃんになるべく頑張った結果、空回りしまくったのがこの話です。

彼の真面目過ぎるが故の不器用ははたから見ている分にはかわいいし、若干の面白さも含むのですが、本人は苦しいだろうなあと思います。いたわこんな感じの子。そして私自身がちょっとその気があった気がする……。

私は書きながら、「頑張れ宗田……」と思いながらひたすら書いてました。

また、主人公は一応3人のつもりなのですが、この話の主題の1つ「小さなたくさんの大切なものがその人をつくる」という部分は彼に担ってもらってます。

ある意味、主人公の中の主人公は彼。
宗田と宗田の大切なモノ達のお話です。

相楽と山背

宗田の新たな友達のこの2人。めちゃくちゃ愛着ある。
私は全作品の中で最も男前は誰かと聞かれたら相楽(僅差で志賀)であると答えます。
兄力(あにりょく)溢れる彼に宗田はめちゃくちゃ懐くことでしょう。

山背は純粋に好き。彼のような自己主張の激しい性格には憧れます。反面、暴君な姉の下で耐え忍ぶ忍耐強さもある。正直に言えば、私は山背になりたい。山背みたいになりたい!
山背に関しては、いつか別の話でもサブキャラとして登場してほしいと思ってます。

キヨを除いたメンズ4人は、意外にも宗田を中心に交友関係を持っています。相楽はミヤと山背を知らないし、ミヤは相楽を知りません。

いつか宗田主導で4人が仲良くなればいいなぁと夢想してます。

書き終わってみて

前回の文フリ東京で『パルクブロッサム101』という小説を頒布したことで、私は長編を全部で3本書きました。
こうなると、大体自分の好きな話の傾向が分かってきます。
その中でも、私が「好き」に抗い、新しい「好き」の開拓に乗り出したのがこの『星を抱く旅路』だったと思います。何冊か読んでくださった方には、本作のみやや毛色が異なっていたのに気付いていただけたように思われます。

大変素敵な体験だったと我ながら思います。

苦労しただけあって、登場人物たちへの愛着もひとしお……。
完結後、最も番外編を書いたのもこの本でした。いつかそれらもまとめて本にできたらいいな。

私の作品の中で、これより清々しいハッピーエンドを迎える作品はまだ書けておりません。そして恐らく書けないような気もしてます。

暗い話を書いてる途中、無性に読み返したくなる一作でした。


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