コロナ後の世界と日本の未来の思考~ 「縄文的地方」と「弥生的地方」その2ー各方面の専門家による未来予測
この記事の続きを書きますよ~。
以下の専門家の皆様にご協力いただき未来予測についてのインタビューを実施しました(匿名希望でご協力下さった専門家1名のお名前を除く)。
・早稲田大学参与 大江建教授(経営学)※株式会社レイン顧問
・三重大学 亀岡孝治名誉教授(農学)
・順天堂大学 櫻井しのぶ教授(看護学)
・関西学院大学フェロー 小池洋次氏(国際政治)
亀岡先生は日本の内外の様々な起こりうる変化、事象について以下のように予測いただきました。
1. オンラインに基づく生涯学習を重視する大学などの高等教育年齢の変化とそれに伴う就職年齢の多様化
2.ボーダーレスのフードシステムから食料主権の考え方に基づく地域に根ざすボーダーフルなフードシステムへの移行
3.テレワーク、オンライン学習などの進展による労働者の選別がもたらす雇用喪失者の増加
4.時代にマッチしない政治・社会システムがもたらす「デフレ社会」の慢性化
5.基本科学コンセプトの「情報」から「生命」への移行、ベーシックインカムの実現、による「格差の是正」を実現する「持続可能な福祉社会」が実現
6.「都市集中型」から「分散型システム」への転換による「ポスト・グローバル化」時代の地域コミュニティの再生
7.航空産業の国有化(国営化)に伴う、近距離交通における航空機と鉄道の棲み分け(フランスで始まりつつある)
8.ICT(情報通信技術)による経済活動の可視化と制御を伴うバイオエコノミーの実現を通した環境汚染の克服
小池先生には以下の通り、国際的なインプットをいただきました。小池先生のインプットについては、予測ではなく、あくまで「起こりうる可能性」であり、その確率が高いと考えているわけでもないことに留意して欲しいというコメントをいただいています。国や企業、そして個人が頭に入れておいたほうがよいリスクとのことです。
<短期>
1.2020年11月 米国のトランプ大統領再選:これはリスクにもなる。米国はますます内向きになり、国際協調に背を向け、環境など世界の諸問題への対応が遅れる可能性が高い。
2.2021年、東京オリンピックの中止とそれに代わるイベント開催:コロナ危機の行方が不透明な中では視野に入れておくべきであろう。代替案を考えるなら早めの準備が必要になる。これを機に国際協調に関するメッセージを日本から発信してもよい。
3.2020年から数年、ポストコロナ時代到来を宣言できないリスク:ウイルスの変異を含め感染の第2波、第3波が到来する可能性がある。今回のウイルスの特性を考えると、当分、地球のどこかで感染が拡大する可能性が大きい。
4.2021-22年、発展途上国の債務危機:複数発生し、それが世界経済に大きな影響を与える可能性。1997年のアジア危機の再来とも言えるが、その影響ははるかに大きいであろう。ベネズエラで超インフレが起き、多くの国民が国外に逃れたが、同じことが広い範囲で起きる恐れがあろう。途上国の「ベネズエラ化」である。
5.2021年以降、複合災害:新型コロナないし別のウイルスのパンデミックに大地震や豪雨などの自然災害が重なる複合災害発生の可能性。特に日本は心配である。
<中長期>
6.2021年以降、2050年にかけ米中の覇権争いが激化:米国は「ツキディデスの罠」にはまりつつある。この罠とは、グレアム・アリソン・ハーバード大教授が指摘したことで、古代ギリシャにおけるスパルタとアテネのように覇権国が新興国に脅威を感じ、戦争を仕掛け、ともに疲弊することを指している。米国と中国が共倒れする可能性もないではない。その場合、世界のパワーバランスが大きく変わることになろう。ロシアは構造的な問題を抱えているので覇権を握るのは難しかろう。欧州連合(EU)は求心力より遠心力が働きやすくリーダーシップを発揮しにくい。故サミュエル・ハンチントン・ハーバード大教授が指摘したように、いくつかの地域大国が併存するような「多極システム」が当分続くことになろう。意見調整が難しくなり、世界が不安定化する可能性もある。
7.2021年から将来にかけ核テロが起きる可能性:かなり前から、上記のグレアム・アリソン教授が警告を発していて、オバマ政権時代に万が一に備えたシミュレーションも行われた。核テロには放射能物質を搭載した通常爆弾(ダーティ・ボム)も使われうる。
8.2021年から将来にかけ朝鮮半島で危機が発生する可能性:偶発的軍事衝突が本格的な戦闘に発展するシナリオもありうる。仮にそうなれば、かつての朝鮮戦争と違い、日本が戦争域に含まれ、甚大な被害を受ける恐れもある。
9.2021年から将来にかけ地域戦争の可能性:中央アジア(インドとパキスタン)や中東が特に懸念される。核が使われるリスクもないとは言い切れない。
10.日本のさらなる後退:コロナ危機は、それまでの変化を加速させる面がある。特にデジタル化への対応が問題である。日本の遅れはかねて指摘されていて、さらなる後退が予想される。特に教育のオンライン化の遅れは日本の将来を考えるとき、致命的である。
大江教授、櫻井教授は正反対の未来を描いてくださいました。
大江教授の描く未来は「デジタル化の進展」を鍵に、「対面から画面へ」の移行が起き、あらゆるものが対面から画面へ、遠隔へ、デジタル上へと移動していくというものです。デジタルトランスフォーメーションについて日本は遅れているため、これに追いつくために大きな投資が行われ、日本は経済が活性化して再生していくイメージを持っておられました。
これとは逆に、櫻井教授は、人と人とのふれあいが失われていくことで認知症患者が増え、日本はますます遅れていき、税金は上がり、日本は衰退して世界経済から取り残されていくという未来を描かれた。これらのインプットを基に作られた15のイベントカードが作成されました。
これらイベントカードについては次回!
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