コロナ後の世界と日本の未来の思考~ 「縄文的地方」と「弥生的地方」その1ーコロナ後の世界とシナリオ分析
未来は予測することが出来ないが、発明できる。
ノーベル物理学者ガーボル・デーネシュ
(未来を発明する(Inventing the Future)より、1963年)
新型コロナウイルス感染症の感染が拡大前の世界と拡大後の世界。色々な面で人々の行動や態度、考え方に変化がもたらされています。一時的に起こっている変化もあれば、これから継続的に続く変化もあるように思います。
コロナ拡大前と後では世界の様相はまるで変わってしまったようにも思えるという人がいる一方で、「ワクチンや特効薬が出来れば以前と何ら変わらない行動が出来るようになるので元に戻る」と考える人も存在するようです。
何が真実で、何が間違っているのか。今時点は経過であり、はっきりとはしないのが実情ですね。ただ、一つ心にとめておきたいことは、この先の未来は現在や過去の延長線上には存在しないかもしれないということ。
こんな不確実性の高い時代の有用な分析手法として「シナリオ分析」に目をつけたのは前回までの投稿で書いた通りです。シナリオ分析の目的は「思いもよらないことを考えること」 にあるためです。
従来型の分析では、現在の延長線上に未来があると仮定して予測を立てていますが、この考え方に異を唱えるのがシナリオ分析といえます。ピーター・ドラッガーの言うとおり、「未来を予測しようと言うことは、夜中に田舎町を明かりもつけずにリアウィンドウを見ながら運転するようなもの」であり、現在の延長線上にある未来をただ描くだけでは不十分かもしれません。
シナリオ分析では、影響度の高低、実現の不確性の高低に重きを置き、影響度が高く、不確実性が高い事象を「未来を左右する分岐」と捉え、短期、中期、長期で起きうる未来を予測します。様々な未来のシナリオのポートフォリオ(組み合わせ)を生み出し、その様々な未来の姿に対しよりよい判断を下せるように備える戦略をとることが大切という考え方です。
このシナリオ分析の発祥の一つとして、ロイヤル・ダッチ・シェル社の「シナリオプランニング」があります 。シェル社はこの手法でオイルショックを事前に織り込んでいたため、1973年に一気に原油価格が5倍になっても対応でき、石油メジャーの中で唯一オイルショックに対処できたといいます。
そこで、今回はコロナ後の世界を予測するため、シナリオ分析の手法を用い、未来予測を行いました。手順は以下の通りでした。
1. 複数の専門家の先生方へのコロナ後の未来予測のヒアリング。
2. 1のヒアリングをベースに、株式会社レイン側で「起こることの不確実性が高く、影響度が大きい」と思われるイベントを15個作成。
3. 2の15個のイベントカードを「起こる可能性の大小」「影響度の大小」を5段階評価いただくアンケートを実施。
4. 3のアンケート結果を基に、起こる可能性の大小で「非常にある」「まったくない」を0点、「ややある」「あまりない」を1点、「どちらともいえない」を2点として不確実性の高低を評価。影響度の大小で影響が「非常にある」を4点~「まったくない」を0点として影響度の大小を評価しました。配点については、起きる可能性が「非常にある」と「全くない」という選択肢を不確実性がないという判断をして0点にし、「どちらともいえない」という選択肢が不確実性が最も高いと判断して2点、間を1点としている。影響の大小はそのままの順番の加点としました。
5. 影響度の大小を横軸、不確実性の高低を縦軸に取り、右上の事象にあるイベントを起点として考え、シナリオを構想しました。これは、影響が大きく、起こるかどうかの不確実性が高いイベントが最も重要なイベントであるというシナリオ分析の手法によるものである。
以上の手順について、次節以降で報告します!
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