透明な夜の香り
匂いとか香りって、色々あると思う。
花の香り、食べ物の匂い、タバコの香り、汗の匂い、嘘の香りとかね。
匂いは人の記憶に永遠と残り、またそれらの記憶を甦らせる。良い悪い関係なく、どんな記憶でも。
でも自分はまだ、香りで記憶が呼び戻された経験はない、気がする。自分が忘れているだけなのかもしれないが。
しかし、このように香りは記憶として永遠と残されるが、普通に生活している自分たちはその香りを覚えておこうと思っても、いずれ段々と忘れてしまう。
じゃあ。どんな香りでも再現可能な人がいたら?それがこの作品に出てくる調香師の「朔」である。
朔は、依頼されたらどんな香りでも作ることが出来る。そして彼は、人から発せられる匂いだけで体調や、病気、精神状態まで分かってしまう。しかし、その体質で苦労してきたことも多く、人一倍孤独を感じていた。他人には到底理解なんてされず、多少ズレているところもあった。
先程、香りは人の記憶に永遠と記憶される、と言ったがこれを見てくれている人達は思い出したい香りや、また嗅ぎたいと思う香りはありますか?
そして、人は香りを段々と忘れてしまう。どんなに思い出のある香りでも忘れてしまうのは悲しいし、誰かに忘れられてしまうのも悲しいけれども、記憶の中では永遠に残っているから。
でも、またその香りを再現して、あの匂いを嗅ぎたいと思ったら、朔に頼んでみるのもいいかもしれないですね。